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「誰かに褒めてもらえるのって、すごくうれしいことだとわたしは思ってる。だけどレイドはずっと一人でいたから、まだそのことに気づいてない」

(略)

「――だけど、今はわたしがいるから一人じゃない」

 

1000年前の戦場において、大剣を振るい戦果を挙げ続けた英雄レイドと、魔法という新技術を編み出し彼と戦い続けていたエルフの賢者エルリア。

2人は所属する国が違うために戦っていましたが、それぞれより良い未来を目指していたのは同じで。

50年以上戦い続けていたが、エルリアの死によってその関係は一度終わりを迎えます。訃報を聞いてからレイドが取った行動が好きだなぁ。

 

そして2人は死後、どういうわけか1000年後の未来に転生を果たす。

エルリアの国が大陸の覇者となり、魔法市場主義が敷かれる事となった世界では、魔法への適正がなく物理特化の英雄だったレイドは評価が難しい対象だったわけですが。

今世では人間となり、名家に生まれたエルリアがレイドを発見。婚約者として迎え入れることで、彼の立場を確立しようとします。

 

それは利益供与の契約ではありますが、あくまで建前。対人コミュニケーション能力が乏しいエルリアが告げられなかっただけで、しっかり彼への恋心があるのが良き。

レイドの方も前世での縁もあって、彼女の存在を忘れた事はなかったようですし。2人の関係が中々に尊くて良いですね。

ただ世界全体が魔法至上主義になってしまったのは、危うさも感じますけどねー。一極化しすぎると、それが通じなかった時対処するの大変そうじゃないですか。

まぁこの2人のスペックがとんでもなく高いので、大抵の障害は蹴散らせるので安心して読めますが。

なぜ2人が同じ時代に転生したのか。歴史から消された情報がある事などなど、気になる設定はいくつもあるので、シリーズの続きを楽しみに待ちたい。