「付き合って、もらえるってこと……?」
「……はい、わたしからも、お願いしたいです」
中学の頃告白して失敗し、恋に臆病になっていた主人公の安藤海斗。
しかし進学した高校で西地野詩乃という少女に一目ぼれして。
彼女は、亡くなった母がこの学校で初の女性生徒会長に就任し、楽しい時間を過ごしたと言う事を聞かされて育っていて。同じように自分も生徒会長になろう、と活動する事を決意。
詩乃の幼馴染の天川綺羅と一緒にやろうとしていたようですが、人手は欲しい。そこで教師から紹介されて海斗は2人の活動に協力する事になります。
女子2人は容姿も優れ学校でも注目されている中で、陰キャよりな海斗が近くに居る事は面白く思われない部分もあったようですが。
姫2人と従者みたいな認識に成る事で受け入れられて、周囲が納得してる間に海斗はしっかりと距離を縮めて、詩乃と恋人になってるので中々上手くやったなぁというか。
綺羅に焚き付けられたところもありますが、彼も告白したいという気持ちがあったかこそ、ですよねぇ。火のない所に煙は立たないし。
そうやって付き合って、甘くて幸せな時間を過ごしていたわけですけれど。
……タイトルにある通り、不慮の事故によって詩乃の記憶は失われてしまって。
変に注目されるのも良くないと、記憶を失った彼女と恋人関係と言う振る舞いを続けたりしますが。
どうしても覚えている彼氏と、忘れてしまった彼女とでは接し方も変わってギクシャクする部分ありますよねぇ。そんな中で綺羅の方でも心情の変化があったりするんですが。
詩乃と未来に進みたいといえる海斗君にはこれからも頑張ってほしいものです。
プロローグで始まった物語が、トゥルーエンドで終わる目次の構成は綺麗だと思いましたけど……これがトゥルーエンドなのかー。その直前に「グッドエンドに繋がると信じて進むしかない」みたいな下りがあって、からのトゥルーなので選択は間違ってないしこれから幸せになってくれるだろう、みたいな想像は出来るんですけど。
もう少し描写があると嬉しかったかな、って気持ちになりますね。ただ、全体的に見たら好きな雰囲気の作品で、恋人同士のやり取りが良かったです。