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「――貴方が、私にとって世界で一番の“魔法使い”です。だから胸を張ってください」

 

王子がヴァンパイア化して、国を継がせるわけにはいかなくなってしまった。

そうなると現王の子供はアニスしかおらず……彼女がかつて放棄した王位継承権を戻し、教育を施すことで女王にする方向で上層部は動きだします。

仕方のないことだ、とアニスも受け入れてそれに向けて動き始めますが……。

 

アニスを良く知る人々からすれば不安があった。

魔学を編み出したように、アニスの能力は確かで、王としての仕事をこなすことは出来るだろう。

能力的には問題ない。けれど、彼女の性質的に王が向いているとは言い難い。

オマケにそもそも彼女が魔学を志すきっかけとなった通り、魔法使いが作り今も貴族として存在するパレッティア王国で、魔法が使えない彼女は異質であって、アニスが王になったらどうしたって国は揺れる。

 

ユフィは公爵家令嬢としての立場では、アニスに王になってもらう選択は納得できる。

でも、彼女の傍に居続けた私人としての彼女は、「王になった彼女が幸せになれるか」と聞かれた時に、答えることができなかった。

「アニスに王になってほしくない」と願うようになった彼女は、母に相談したり父に思いの丈をぶつけたりして、自分に出来る方法を探っていきますが。

……そんな彼女だからこそ到達できる場所があり、選択肢を増やすことが出来たのは運命的と言っていいでしょう。

 

アニスが普段のふざけた振る舞いの裏で、前世の記憶もちであり王女として相応しい振る舞いが出来ない自分の事を責めていたのが、国王と王妃にも伝わることになって。

現国王も即位の際にクーデターがあって国が荒れた時期であり、困難も多かったのもある中で、間違いもあったけれどアニスをしっかりと受け止めてくれる両親で良かったなぁと思えました。

それでも。ユフィが選択肢を増やしてくれたとしても。ただそれを受け入れることは出来なくて、2人で決闘することになったりもしてましたが。

最後には収まるところに収まって何よりでした。秘密も打ち明けて、隠し事もなくして。百合として糖度上がってきたな……いいぞもっとやれ。