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「――私たちが受け継いできたものはこんなに素敵なんだって後世に伝えるために。戦うためだった力を人の癒しや楽しみに出来れば、それは幸せなことだと思いますから」

 

精霊契約を果たすことで、第二王女として迎え入れられることになったユフィ。

女王になるべくユフィが政治方面で奮闘する一方で、アニスは魔学の発展のため新たな可能性を模索していくことになります。

公人としても協力関係にある二人ですけど、聖霊契約者になったユフィの食事はアニスの魔力と言う事で、一緒に寝る機会が増えてたりして、私人の関係も濃密になっててとても良い。そうそう、これが読みたかったと言う感じ。

食事と言う理由を得たユフィが、アニスにもうアピールしてアニスの方がたじたじになってるの、新鮮でいいですね。イリアからは随分とヘタレたとか言われてましたけども。

 

今後、魔学を広めていくにあたってアニスの考えを理解できる人が多い方が良いだろう、と助手と護衛などを兼ねた人材を推薦されることになって。

冒険者時代にアニスと知り合っていた男子や、魔法の才能が乏しくアニスの魔学に光を見た少女だったり、しっかり見極められてるなぁと言う感じ。

実際、アニスの発明品を認めてくれていたり、新しく開発する時いいアイデアをくれたり。

情報収集のため、溝のある魔法省の図書館に赴いた時に、隔意のある対応されたことに憤ってくれたり、新しいキャラでしたけど味方と信じられるのがとても良かった。

 

魔法省側もトップが問題を起こしたため代理を置いて過ごしている状況であること。

新たに聖霊契約者が誕生したことで明らかになった、精霊信仰の真実が衝撃的だった事など。いろんな事情が重なって不安定な状態だから、今アニスに来てもらうのは望ましくない、と言われてしまうんですよね……。

相手の事情も分からなくはないけど、どうしたってアニスに感情移入するので「いつまで貴方達に否定されなきゃいけないの?」という言葉が重くて仕方がなかった。

 

外野のミゲルって新キャラは、どっちも正しさと同じくらいの間違いがあって、見限りあった関係だから不毛だ、と言ってますがそれはそうなんですよね。

……伝聞とは言えアニスの事情を知って、どっちの味方にもならない選択をしてる、彼みたいな人材も貴重ではあるんですよね。アニスやユフィのイエスマンばっかりになっても良くないですから。

それはそれとして、アニスを「結果を出すにしても人を見限りすぎた」って評価は、正しくて、そうさせたのはそっち側だがー!? みたいな気分にもある。

まぁ、これを言い続けると永遠に解決しないので、許せるわけではないけどやり直すって選択をしたアニスを尊重したいですね。

 

歩み寄った結果、新しい可能性を示すことも出来たみたいですし。まだまだ粗削りではあるけれど、結果は出たので未来に期待できる。

イリアとレイニの関係も進展して、どんどん変わっていくけどそれが良い方向への変化なので読んでいてとても楽しかったです。