「ダメですよ、そんな可愛い顔ばっかしてたら。――虐めたくなるじゃないですか」
「い、今、虐めたくなるって言った! ちゃんと聞いたからね、この意地悪!」
「気のせいじゃないですか? ほら、行きましょうか、アニス」
即位を果たしたユフィと、その傍にあるアニスたち。
アニスの魔学と魔導具は先進的だけど、劇薬の類だから広める為に準備時間を取りたいとのこと。
しばらくお休みだけど、夜会への参加なんかはすることになって。魔学の成果をみた若手には好意的な人も多くて。アニスが苦手分野ながら頑張ってたのは良し。
そこでユフィの弟と出会って、まだ若く姉との関係の変化に飲みこみがたいものを感じていたみたいで。
ユフィに幸せになってほしいから、と彼の意見を聞きたくて踏み込んでいく辺りは、彼女自身の失敗が背景にはあるよなぁ……と思っていたら、5巻後半でアルとも対峙する事になるんだから、意図的だったんでしょう。
東部への視察を、ユフィとの新婚旅行みたいじゃない?! と内心ドキドキしてるアニスが可愛いし、実際イチャイチャしてくれるので栄養満点! って感じで良かった。
恋人としてのアニスたちの関係は甘く蕩けるようですけど、別に常時恋愛に意識割いてるわけでもなくて。
魔物と対峙したときに、女王と王女のコンビで撃退してるあたり戦闘方面でのスペックが相変わらず凄いというか。実力的な意味では護衛いらなそうですね……王族として、形式とか大事ですが。
そして東部地方は、アルが送り込まれた地域でもあって……。
彼はそこでリカントという獣耳と尻尾をもった種族の少女、アクリルを保護していて。パレッティア王国とは違う地域から来た彼女は、この国の事も知らず……だからこそ、罪人としてきた王子としてではなく、アル自身を見てくれたのが良かった。
パレッティア王国の関係者では、言葉にしがたい部分をハッキリと口にして、アニスとアルの関係改善につなげてくれた部分は認めたいところですが。アルの事ばっかり見て、アニスの事をないがしろにする彼女、好きだけど嫌いだわぁ。
「どうしてお前まで傷つけられたような顔をしているのか」じゃないんだよ!! まぁ、アニスはなんだかんだ彼女の事気に入ったようですけどね。
アルは相変わらずの性格しているみたいですけど。原点を見つめ直したことで、アニスやユフィとの関係も変わったというか。今回この3人が話したことで、より良い未来への道筋が開かれたようで今後に期待したいところですね。
……アクリルがもたらした情報とか、どうにも不穏な気配もありますけども。