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「人間の本来の力ですよ」

(略)

「逃げずいじけず自信を持ったなら、誰であれ、己の可能性をもって世界に挑戦していくことができます。それを楽な生き方とは言いませんが、傍目に見て興味深いことは確かですね。そこには一つの勇気がありますから」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで930日まで。

WEB版は昔一回読んだことあるんですけど、昔過ぎてちょっとうろ覚えだったのでそうそうこんな感じだったなぁと思いだしつつ読みました。

 

冒頭に置かれた第零話は、ある男が火刑に掛けられるシーンから始まります。

その名をサロモン。戦争で功を挙げたものの魔人と称され、争いの責任全てを背負わされて焼かれた男。

それから少しばかり時が過ぎた後、北方の辺境に在る村でマルコという少年が生まれた。彼は、まるでサロモンのような熱を宿しており、多くの人が彼の熱にあてられて行動を共にすることとなります。

 

もっともマルコはまだ幼く身体も出来上がっておらず、村長家の息子ではあっても平民であるために、打てる手は限られている。

そんな状態でも、村の同年代の子ども達に文字や算術、投石などの技術を教えて。自身の知識を活用することで、村の人々に利益を齎したりなどもしました。

でも、マルコは分かっていた。自分はいずれこの村を離れ、戦場に立つことになるだろう事を。だから、それらの教導は自分が離れた後も村が豊かでしたたかであれば良いという願いの下に種を蒔いている、と言うのが良いんですよね。

 

序盤はそうやって少しずつ村を良くしているマルコに気が付いた行商人ラウリだったり、かつてサロモンの義勇軍に従軍した経験を持つオイヴァや、領内の視察という名目で派遣されてきた将軍に至る才能のあるアクセリなどなど。

サロモンをしる人はマルコにサロモンの幻影を見て、そうでないものでもマルコを無視できなくなっていく。

まだまだ序章ではありますが、面白くなっていくだろう息吹を感じる作品ですね。マルコの台詞に独特の味わいがあって好きです。