「自分の道を歩く。……きみとおんなじで。ぼくも、そうするって決めた」
「…………」
決勝リーグが決着し、新たな生徒会のトップが誕生する事になる前半と……第三の復讐を果たすべく動くことになる後半の山場を2つ盛り込んだ3年生編の終わりを描く10巻。
9巻の最後で無茶をしたカティを剣花団の面々が心配して、だけど彼女の性質を変えるのは容易ではないと悩んでいる所にマルコが爆弾放り込んできたのはちょっと笑ってしまった。
……シェラだとか、オリバーの同士の視点からしても危うさがあるっていうのは怖いなぁ。魔に呑まれる実例を見てきたわけですし。
剣花団の関係は良好ではありますが……好意が向けられている先の問題とかもあって、複雑に絡み合ってる感じが、この学園の中での清風のように感じているんですが。
三年を終えて、上級生に差し掛かる時期であることだとか。魔法使いたちは、身体を重ねることもまた、1つの手段として捉えがちなわけで。
この先、どう変化していくのかが楽しみであると同時に、一線を超えることが柵となって踏みとどまる縁になってくれるといいのですが。どうなるかなぁ。
オリバーもまた過去に母の事件の後、新たなトラウマを獲得していたことが明らかになったわけですし。魔法使いの業をこれでもかと見せつけてくるのもこの作品だよなぁ、と思いました。
今回敵対した天文教師のデメトリオもまた、長くを生きた魔法使いらしく切り札を持っていて、オリバー達を追い込んでくるのが見事でしたが。
事情を知ろうと深みに踏み込んだことで、心をかき乱されていたのは印象的でしたね。クロエの事を嫌っていたわけではなく、ただ相容れなかったことで起きた悲劇。それ自体は飲み込んだけれど、連鎖するように巻き込まれたオリバーのような存在を産んでしまったことは本意ではない、と言っても詮無いと分かっていても零した辺りに人間味を感じましたねぇ。
今回もまた犠牲を払いつつ戦い抜いたオリバーの、愛憎入り乱れた学園生活が今後どうなっていくのか目が離せません。