「僕に言い考えがあります。全員で決闘させましょう」
なんでそうなるのか。
皆の心が一つになった瞬間である。
外交使節団としてヴォルトゥザラ王国に派遣されたペイス。
モルテールン領の方もペイスが確立したシステムが上手く回っており、アニエスの慣れもあってトラブル対応は迅速にできるようになってきたようです。
カセロールが近くにいるけど、軍務を帯びている状態でフォローできる範囲にも限界があって。
その上で、国の上層部は取れるならもっと利益を取ろうとしてるわけですから、中々の政治屋だよなぁ、といいますか。
国王たちは王子からの報告を受けて、成長に喜びつつ新たな試練を与えてくるんだから狸でもある。
ヴォルトゥザラよりさらに遠方にあるソラミ共和国からの使節団がくると聞き、様々な事情から神王国はソラミ共和国と親しくしたいと考えていた。
その交渉を現地に居るメンバーがまか冴えれることになったわけですが。
いかにしてヴォルトゥザラ王国に滞在し続ける許可をもぎ取るのか、といった方面でペイスがしっかり活躍してるのが面白かった。
自分の調理技術を一部とはいえ提供したというのを建前に、技術交流を提案してくるのがいいですよね。学生たちを連れてきた事も上手く搦めてましたし。
ソラミ共和国側も、活用できそうな収納の魔法使いという有用な人材を派遣してきてたり、本気なのは確かみたいですけど。
道中で女遊びをしまくる軽さも持ってて。そんな彼がルミを運命の人と見染めてアプローチしてきたのには困りましたね……。
神王国視点で言えば外交的にアリだけど、モルテールン家としては頷けない部分があって。だから話を預かって決闘で片付けてしまおうっていうのは、ペイスらしい解決方法だよなぁとは思いました。
書き下ろしの「第三十一.五章 占いは結婚式の後で」で、ソラミ共和国のアモロウスが聞いた「予言」について語られていました。正しくは「人生を変える運命の出会いがある」というもので、女好きな彼は運命の女性と解釈したみたいですが。
……実際この後そうなっていってもおかしくはないですけど、彼も今後ペイスの起こす騒動に巻き込まれていくってことなのでは? と勘ぐってしまうなぁ。