「これは、わたしがちょっとだけ強くなれる、おまじないなの」
メインストーリーを勧めたいけど、日常のエピソードも大事にしたいという想いから書き下ろされる事となった、4巻と5巻の間を主に描く巻ですね。
プロローグは、モニカがまだ引き籠りしていた時代にルイスに引っ張り出されて、魔導書の封印作業の手伝いをさせられる、というエピソードなんですけど。
なんで(実質)4.5巻でこの時間軸の話するんだろうと思っていたら、しっかり他の話に絡む要素盛り込んであって、構成上手いなーと思いました。
ここでルイスから「幸運のお守りの作り方」とか「青いインクで恋文を書くと両思いになれる」みたいな魔術的根拠のない「おまじない」について話を聞くんですが。
魔術と数学ばかりで世界を作っているモニカにはよく理解できず、「一生無縁のものなんだろうな」と思っていたんですよね。
でも学園に進学した後、多くの人と触れ合う中で彼女の情緒も育っていって、おまじないに少しだけ理解を示すようになっていくのが、胸が温かくなる感じで良かった。
フェリクスが沈黙の魔女大好きなのは描かれてましたが。
沈黙の魔女の論文載ってる本を読みたいけど、記録が残る形では難しい。だから不良仲間なモニカに協力してもらって、立ち読みしてみようと思い立つのは面白かった。ちゃんとオチもついたし。
グレンにかけられた冤罪を晴らすためにシリルが奮闘したり、モニカとチェスで接点のある音楽家ベンジャミンのスランプに振り回されるエリオットの姿とか、普段とはちょっと違う雰囲気が見られたのも面白かった。
後は、イザベルがノリノリで悪役令嬢やったりもしてますけど、一方でしっかりと貴族としての顔を見せてくるのも好きだなぁ。今回も楽しかったです。