「あなたたちに私の好きな言葉を送るわ。――諦めなければ終わりじゃない」
その通りだと、ティグルは思った。これまで何度も厳しい現実を突き付けられてきた。それでも諦めず、前に進み続けた。だからこそ、いまがある。
この戦いも、決して諦めない。ティグルはあらためて決意を固めた。
ガヌロンがシャルルを復活させて。
蘇ったシャルルは「国奪り」を目的に掲げ、ロランをあしらいティグルの投擲も受け止めて、とかなりのスペックでこちらを圧倒。
あそこでガヌロンが回収に来てなかったら終わってたかもしれない、と言うのは中々厳しいものがありますね。戦力差がいつも大きすぎる、と言いますか。
三百年も時がたつと伝承は歪むものですが。……ガヌロンが意図して情報を抹消した部分もある、っていうのが厄介極まりない。
戦場で楽器を弾いていたとか言う伝承が、実は「弓弦を引いた、を弦を弾いた」に改編されたというもので、弓を忌避する風潮の発端もこういう所から生まれたのだろうか。
シャルルただ蘇っただけではなく、かつての友と交わした約束を気にかけている描写が多いので、なにか別の思惑を持っていそうですが。
……それはそれとして若い身体満喫してるのが食わせ者だよなぁ。
敵対側には始祖を名乗る力強い戦士がいるけれど、ガヌロンの積み上げてきた悪評があって。
一方でこちらは女王が認められていない国で、これまで王子と身を偽っていた王女レギンがトップになっている。
お互いに弱みがある中で、それでも与することを選んだ人員は貴重な財産とも言えそうですが。
魔物たちの暗躍を知っている読者目線としては、やっぱりティグル達に頑張ってもらいたいところであります。
公爵が亡くなったこともあってリュディの母が縁談を持って来たりして、それを切っ掛けにティグルに改めてアピール。
母から聞いた話を元に、ミラとの共同戦線を立ち上げようとしていたり、恋する女子は強いわぁ。
私的な問題にも挑みつつ、始祖シャルルへ対抗するために戦場に立つことも選ぶんだから、このシリーズの女性陣は本当に強いわー。