「さっきからドキドキが止まらないの。今まで生きてきた中で、たぶん一番ドキドキしてると思う。これ以上ドキドキしたら死んじゃうかもしれないわ」
(略)
「でもね、私、がんばるから……言っても、いい?」
熱を出した上に微睡んだ状態の小雪からキスをされた直哉。
しかも翌朝には彼女はその事実を忘れてしまっていた。
そのまま伝えると彼女の許容量パンクしちゃうだろうしなぁ、ってひとまず隠す判断をしてましたが。
それはそれで抱え込んでる直哉がギクシャクする事になるんだから、中々珍しい絵が見られましたね。
これまでガンガン行こうぜ! と攻め込んでいた直哉君の意外な弱点と言うか。
色々と察しがついてしまうせいで、思うように動けなくなるとあぁも弱るのかと思うと……幼馴染の巽が大爆笑してたのも、正直分かる。
友人に相談しつつ、忘れてしまったならファーストキスをやり直そうとか割といい方向に話まとまったと思ったんですけどね。
攻勢に出ようとして失敗したりしてるのはなかなかに新鮮でした。
プロローグが小雪父と直哉父が海外でバッタリ遭遇して意気投合したらしい、って話で。
その後本編に出てきた時には関係が変化してるの、展開早くて笑ってしまったけど、漏れ聞くだけでも直哉父のトラブル吸引力はすさまじいみたいですから、納得しかないのも困る。
直哉以上の察しの良さというか、あそこまでいくともう超能力かなにかでしょ……。アイコンタクトで完璧に意思疎通で来てしまうあそこの父子、怖いよ。
勉強会もしたりして着実にイベントはこなしているのに、最後の一線が超えられない。
そんなタイミングで直哉の両親が帰国。父が直哉と同じ読心妖怪な反面、母は常識人っぽいのが救いか。
家族で知り合いになったし、一緒に旅行でもと展開が加速するの面白かったな。まぁその後タイミングが合わなかったりしてたんですが。
口絵になっているシーンに辿り着いてくれたのは本当によかった。小雪、頑張ったね。
これまでの積み重ねをみているからこそ、そりゃエピローグで出てきた新情報に対しても友人たちはああいうリアクションになるよなぁ……って納得が強かった。