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『虎丸、付き合ってくれるかね?』

『勿論ッスよ! ショージキに言うと、オイラはあの女、大っ嫌いッス! けど、そんなことカンケーないッス! 助けられたら助け返すッス! 意思ある生物として、当然のことッスよ!』

 
BOOK☆WALKER読み放題にて読了。

刀に人生を捧げたとある老人。

彼は多くの強者と切り結び、勝利してきた日ノ本一とも呼ばれた剣士であったが……老いには勝てず、今にも死を迎えようとしていた。

その間際に彼の胸中を占めていたのは、「足りない」という気持ちだけだった。

老いの中でも自らの剣を高める光明を見いだしていたようですが、それを掴むには時間が足りな過ぎた。

 

そんな彼に超常存在が接触してきて、異世界に転生させてくれることとなって。

自ら命を絶ったエルフの少年の身体に老人の魂を移植する、という形なので身体は育った状態でのスタート。

超常存在さん、前世の自分の名前を忘れるだけで刀もボーナスで付けてくれる辺り太っ腹です。

 

魑魅魍魎、悪鬼羅刹が居る世界だという謳い文句でしたが、主人公の前世にはなかったレベルやステータス、スキルに魔法なんかが存在していて。

主人公の技量は確かなんですよ。ただ、この世界だとレベルとステータスの恩恵が凄くて、レベル1の主人公の斬撃が腹に直撃しても、服が避けて薄皮一枚切れたかなくらいの感じになってましたし。

レベル差が5以上になると、よほど相性が良くないと勝てない。10も差がつけば逃げられない。それぐらいの格差があるそうです。

 

常識に疎い主人公は結構困惑していますが……彼が身体を譲り受けた、エルフの少年の家系に長らく付き添っていた虎が、精霊虎へと進化したことで念話スキルでの会話が出来るようになって。

虎丸と名付けた相棒から、色々と常識を教わる事が出来たのは良かった。

そうやって色々と教わりつつレベル上げをしようとしていくわけですが。そんな折に、彼が拠点としている旧王都に暴走した龍種が攻めてくるんだから、引きが強すぎる。

即座に逃げられる者ばかりではなく……故に戦う選択をする彼の在り方は格好良かったと思います。