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「あんだーらいふのファン舐めんなよ? こんだけ燃えてる私にだってファンいるんだからさ」

 

ハーメルン、小説家になろう、カクヨムでマルチ投稿されてる作品。

ブラック企業で働いていたら過労で倒れ、このままの生活を続けていたら危ないと医者に言われ退職した主人公。

貯金はあるのでしばらくは生活できるけど、これからどうしたものかとなっていた彼に妹が「VTuberになってみたら」と言ってきて。

試しに応募してみたら採用されて、トントン拍子でデビューすることになります。

 

しかし、ほとんどが女性の事務所からのデビューだったために、良い印象を持たれていなかったところに、同期デビューの男VTuberが「前世」問題で炎上しデビュー翌日にクビ。

行き場のなくなった怒りが同期というだけで主人公に向けられることになります。

それ以降も、直後にデビューすることになった後輩女性VTuberSNSで反応しただけで小火騒ぎ起こされたり、当人に非のないところで炎上しまくってるのはお辛い。

 

とは言え主人公はあくまでVのガワの着てるし、ブラック企業勤めの社畜だった経験もあってかそんなに気にしてないんですよね。

アンチに張り付かれて低評価爆撃くらっても、そのこと自体はダメージになってないし。

企業所属VTuberとして結果が出せておらず、配信でも面白さを発揮できずに虚無長時間配信とかになりがちだとか、そういう方面の心配はしてるんですけど。

 

彼の視点だとそこまで重くなさそうでしたが、妹目線だと放っておけない状態だったってのも描かれてますし、彼の心境描写どこまで信じたものやら。

あとがきに曰く『主人公が救われる話』らしいですし。救われないといけない何かを抱えてるってことじゃないですか……。1巻で漏れ聞こえてる範囲でも、結構爆弾抱えてそうではありましたけどね。

それでも自分のことで手一杯なのではなく、周囲の人を気に掛けることができる主人公が本当にいい人だったので、いつか救われるまで見届けたいって思いましたね。

 

主に主人公の視点で進行しつつ、彼の妹だったり、事務所の後輩たちだったりの視点が入って、心情を補足していく形式。

各章の終わりに掲示板回があるんじゃないかってくらい多いのも特徴ですね。掲示板回、好きなので結構うれしかったです。まぁ炎上しがちなのでアンチもいるんですが、ファンもいるし、なんなら妹ちゃんも出てくるし。

いくつかのスレでは「今日の妹ちゃん」のコメントまでついてるのが面白かった。

 

ただ最初のほうはレイアウトにちょっと慣れなかったですね……横書きの文章みると視線が左上に行っちゃうんですけど、横書き2列構成の右側の列先に読まないといけないのでついつい行きすぎちゃうことがあった。

でも掲示板回が多い分、横書き1列とかにするとどうしたってページ数嵩むので、納めるために考えられたレイアウトだとも思うので、これはこれで良いと思います。

途中から慣れてきたし。でも、真ん中に縦線でも入ってたら違ったかも……? そんな変わらないか?

電子で読んでたからってのもあるだろうか。BOOKWALKERの電子版、カバー裏も読めたんですがあちらはメガイラスト仕様で右側から読めたしな……。

 

あと面白いと思ったのは、イラストがV側しかないんですよね。オフコラボやリアルイベントもやってるんですけど、いわゆる「中の人」が描かれてるべきところVの絵で通してる。

そもそも地の文からして「中の人」の名前が基本出てこないので、作品として一貫してる部分ではありますけど。中の人も出すと、キャラの名前っていう情報量が増え続けていくことになるので、こういう形もアリかと思いました。