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「君が思い悩むようなことではない。他人の行動の何もかもを背負い込もうとするな、馬鹿者」

 

プロローグはディートリンデ視点。

フェルディナンドを害しランツェナーヴェについた彼女が、何をしていたのかが描かれるわけですが……いやぁ、根っからの貴族だろうにあちこち甘くて浅くて、ここまでくると流石ですねとか思ってしまう。

だいぶ好きに動いてましたけど「ディートリンデの期待する明日が来ることは二度となかった」でプロローグ終わってちょっと溜飲下がった。

 

ローゼマインたちは貴族院に乗り込み、アーレンスバッハの敵対陣営とランツェナーヴェの対処に走って。

中央騎士団長のラオブルートが戦力を現王族へ差し向けたり、いよいよ離反を隠さなくなったりして。いや、ダンケルフェルガーの戦力いてよかったというか。

ランツェナーヴェ側がグルトリスハイトに手をかける瞬間だったわけで、かなりギリギリの状況だったんだなぁという思いが強まりました。

 

ローゼマインがアナスタージウス王子に「大切な人を人質に取って逃れられない選択を迫るのが王族のやり方でしょう?」ってかつてやられたことをやり返すの、正直痛快でしたが。

多用しすぎると反撃くらうからそのあたりのさじ加減は難しいところです。……アウブ・ダンケルフェルガーをして、あまり的に回したくないと言わしめたフェルディナンドがそばにいるから大丈夫か。

 

エピローグは、アウブ・ダンケルフェルガーの第一夫人ジークリンデ視点。

後方支援の慌ただしさの一環を見たのと、他領から見たフェルディナンドの暗躍について知れるのが面白かった。

女神が降臨したと聞いて、都合よくごまかされてないかと疑うあたりしっかり貴族してるんですが……トンデモ本好きがメスティオノーラ降臨させたのは事実なんですよね……。

 

書下ろしSSは中央の戦いをテーマに、「イマヌエル視点 帰還した傍系王族」で中央神殿が何をしていたのかを。「アナスタージウス視点 王族の立場」・「マクダレーナ視点 裏切り者の討伐」で王族の反応とラオブルートへの対処などを見ることができます。

特にマクダレーナ視点は貴重で、王族に嫁入りしてもダンケルフェルガーとしての矜持は健在で。彼女がいたからこそ守れた命もありそうです。

 

「ジェルヴァージオ視点 女神の降臨」は、ローゼマインの目線だと女神の図書館にいたタイミングで何が起きていたのかわからない状況なので、降臨の状況を知れたのは良かった。

メスティオノーラもまた女神なんだよなぁって傲慢さを感じる状況ではありましたが。

「介入できる余地が出来て安堵いたしました」じゃないんだよなぁ……それで人の記憶奪っていくし。結果だけ見れば助かってるんですけども、もどかしい。

 

そして暗躍している「フェルディナンド視点 負けられない戦い」。いろんな意味が込められてそうで、ワクワクしちゃう題名でしたね。そのために手段を択ばず、迅速に動いていたので周囲への影響甚大でしたが。

王族とかには遠慮しなくとも、意向を聞いてきたローゼマインを血なまぐさい戦いから隔離できると安堵してたり、大分感情出てくるようになったな……みたいな気分になった。

まぁ大切だからってのを除いても、女神の干渉で記憶に穴が生じているローゼマインを連れ歩くと、いつも以上に予想外が発生して間に合わなくなる可能性があるって計算もあったみたいですけど。