ico_grade6_3h

「自分を大切に思ってくれる人たちの言葉は――才座さんにも大切にしてほしいな」

 

MF文庫J18回新人賞受賞作品。

高校生ながらイラストレーターとして活動している男子、亜鳥千景。

近頃の彼は、学校の女性陣にスケッチを頼み込みイラストの元ネタにする活動を行っていおり、女子をナンパしてるって噂が流れるほど。

一応これまでは許可を取り、アレンジを入れてイラストにしてたようですが。

接点の薄いクラスの美少女、果澪をもとにしたイラストを描いたときだけは、許可を取らずに公にしてしまった。

 

それを直接本人から指摘されたかと思えば、さらに仕事の依頼までされることになるっていうんだから驚きです。

彼女はしっかり代金も用意したうえで、「VTuberになりたいから、ママになってほしい」とお願いしてきます。

千景、わりと変態でヤバい部分もありますけど、ネームバリューのあるイラストレーターとして対価はしっかりもらわないといけないとか、ある程度の線引き出来てるのは偉い。

……それ出来てなかったらヤバい要素ばっかりになっちゃうので、ちょっと安心しました。

 

いきなり弱みをついて交渉の場を用意して、それはそれとして対価をアレコレ用意して話を進める果澪も食わせ物な感じはしますけど。

リアルでもイラストレーターとしても親しくしている女子を巻き込んで、果澪のVTuber計画を進めていくことになります。

現役VTuberの知人の協力も得たことや、果澪の資質も合わさって個人勢としてデビューして注目を集めることには成功したわけですが。

……計画がしっかりしていて、成果が出たからこそ見落としていた問題があって、そこに向き合っていくという後半の流れは青春していてよかったと思います。299Pの挿絵演出も良かったですし。そう上手くいくかなぁとか、ついついツッコミたくなる部分もありますが、総じて面白いと言える作品でしたね。