ico_grade6_2h

「あんた、馬鹿だと思っていたが、それは間違っていた。あんた大馬鹿者だ。だが、歴史に残る大馬鹿者だ」

 

女神のごとき力を持った存在によって、異世界に転生した主人公。

72の魔王が、同じ魔王や人類と争い勢力を伸ばそうとしている中で、目覚めたばかりの主人公――魔王アシュタロトことアシトは最弱の勢力で。

正々堂々とした戦いではなく、知略を武器として成り上がろうとしていくわけです。

 

珍しいのは日本から異世界へってルートではなく、異世界から異世界へとなっているところでしょうか。最も前世は研究バカで、異世界である「日本」の研究をしておりその知識を得ていたりするので、実際のところ日本→異世界のケースとあまり変わらない感じが……。

異世界の品を核にすることで、関連する英傑を召喚できるという設定もあって、実際に土方歳三を招いたり、他陣営に招かれたと思しきジャンヌ・ダルクを味方につけたりしていくわけですけど。

 

ここで例えばアシトの前世の世界の品もあって、「こいつは俺の前世で活躍した●●って英雄の武器だ」とかあれば、異世界→異世界設定が生きたと思うのですが。

研究バカすぎて知識だけ持って異世界に来てる(前世にまつわるエピソード記憶がない)という設定もあるから、そういったことはできないって言うのかもしれませんが。

それだったら猶更日本→異世界への転生であった方が説明事項減って楽だったのでは……みたいに、そこまで本筋じゃない部分が気になって入り込めなかったのは残念。

 

72の魔王にはそれぞれ対応した勇者が生まれることになっており、彼らが扱うための武器は権威の象徴として魔王の城で管理されている。

その情報を知った時に、「なんでわざわざ敵を強くしなきゃいけないんだ」と廃棄を命じたり、エピソード単位だと面白かった。それをつなぐ設定の部分に引っかかりを覚えて、全体的には普通……みたいな塩梅ではありました。