「ツヴェート様、俺、ここでいいって思ったことは、一度もなくて」
(略)
「ここがいい。ずっとそんなふうに考えていた。だから、命が尽きるまで、ここで生きていたい」
イヴァンとアニャ、2人の関係は相変わらず良好で。
でも2人とも抱え込みすぎるところが心配材料でもあるんですよねぇ。
婿入りの為に駆け足で実家を出てしまったイヴァンは、数少ない彼を心配してくれていたツィリルを置いてくることになったのを気にしてましたし。
改善しつつあるとは言え問題山積の実家にいたくない、というツィリルのことですとか。
家族が遠方に住んでいる状態で一人暮らしをしている、老齢のアニャの染め物の師匠であるツヴェートが倒れていたのを見つけ、一緒に暮らそうとする話ですとか。
アニャが行っている民間療法、蜂蜜を用いた蜜薬師としての働きも、重度の外傷とかには通じないから医者がいない村での治療行為に不安を抱えていたことだとか。
そうしたアレコレって、2人が思い悩むのもわかりますけど2人だけの問題じゃないし、抱え込んでしまっても解決できないんですよね……。
重荷となっていたそれらの問題に関して、手助けしてくれる人々がいたのは何より。
一般的には不便と思われる山暮らしでも、イヴァン達は豊かな心で暮らしていて、ベースが楽しそうなのがいいんですよね。
イヴァンがアニャ相手に結構ストレートに可愛いとかいうし。それで照れてるアニャはより可愛くなってくれますし。
一番最後の挿絵の2人とか本当に幸せそうで、良い読後感ではありましたねー。