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「君は君の好きなことをやるべきだ。俺は君が暗号を解くときの表情を見てみたいと思ってるよ。真剣に暗号を解いてるときの君はきっと美しい表情をしてるはずだからね。俺の妻はなんて魅力的なんだろうって、惚れ惚れするに決まってるさ」

「ふふふ。ノンナが聞いたらまた呆れた顔をするわね」

 

1巻で、ハグル王国から脱走しアシュベリー王国へとたどり着いたビクトリアの物語は、大きな山を越えひと段落しましたが。

脱走工作員の生存がハグルにバレたため、ビクトリア達はシェン国へ活動拠点を移していたわけです。

そんな終わりから5年。ついに彼女たちはアシュベリー王国へと帰還することになって。

 

ビクトリアの事情を把握しているエドワードとマイクが、色々と配慮してくれてるのもありがたかったですねぇ。

彼女の名前は偽名だったわけですが、アシュベリー王国へ戻ってきたなら以前付き合いがあった人とも出会うだろうから、ビクトリアはミドルネームとして残すことを認めてくれましたし。

ヨラナにスーザン、バーナードにクラークなど。ビクトリアとノンナを知る人々が、彼女たちを受け入れてくれたのも良かった。

 

ノンナは12歳になって美しく育ったけれど、ビクトリアの教えの下で強く育ったし、シェン国で武術も習ったこともあってやんちゃ盛り。

一方でクラークは資料管理部での仕事を始めていたので、ある程度の落ち着きを身に着けて始めていて。

前までのように遊びたいけど反応の違いに戸惑うノンナと、対応に青さと努力が見えるクラークの様子は微笑ましかったですね。

 

シェン国で得た薬の知識とかで、新しい縁が出来たりもしていましたけれど。

ビクトリアの工作員としての知識や経験が失われたわけではなく。久しぶりに再会したバーナードから結婚祝いとして贈られた、有名な作家の直筆原稿には暗号が隠されているかも、なんて面白そうな話を聞いて。

実際に読み解いてしまうんだから大したものです。解き明かせたのは前半部分だけ、というか。ある場所について記されていただけなので、答えを知りたければ現地に行かなければならないという状況になって。

 

夫でもあるジェフリーが、ビクトリアの在り方に理解を示してくれて、旅行という体裁で謎解きに付き合ってくれたのは良かった。

……まったく別件の問題に遭遇して解決したり、解き明かした謎が大きな利益をもたらすものだったり、ノンナを惑わせる出会いがあったりと大わらわですが。

年月を重ねて夫婦関係も良好な中で、趣味としての活動にも力を入れているのがいいですねー。