「大きな枠組みで括るでない。エルフが全員、ハーフエルフを認めないわけではない。少しずつでいいのじゃ。少しずつ変わればいい」
(略)
「少しずつか……あなたらしいな。では俺もそれを信じてみよう」
SS級冒険者、迷子の剣聖エゴール。
彼が気にかけている人物を助けることで、シルバーが貸し一つを勝ち取れたのは良かった。
まぁそういう実利だけではなく、アルノルトとしては直ぐに助けることのできなかった、ゴードン陣営で人質を取られて働いていた軍師のソニアを助けることができたのも、アルの背負っていたものが一つ減るわけですから、勿怪の幸いというか。
天才軍師とまで言われたソニアの育ての親までもが「今回の帝位争いはおかしい」という助言をくれて。
今のゴードンを見てると信じられませんが、ただの猪武者が将軍になれるほど甘くないし、かつての彼は初陣で多くの犠牲を出した結果助言を取り入れられるように変わっていたそうです。
それだけに今の変化が、帝位争いによって権力に取りつかれたとみるには不自然に映るとかで。いやぁ、不穏さ極まってきたな……。
レオ達の陣営はかつてより大きくなり……だからこそ、サポートしてくれる軍師を欲することになって、旧知の相手を探すことに。
レオが気に掛けるだけあって曲者感がありますが。彼は採用に関して、フィーネを求めて暴走している貴族連中へ、アルがどういった対処をするのかで判断すると言って。
なんだかんだ理由をつけつつ、アルはフィーネを大事にしてるんですよねぇ……そばにいる時間を心地よく感じてるわけですし。早く婚約なりしてしまえば、と外野から見てる分には思いますが。エルナもいるしな……。WEBではハーレムタグついてるし、慕ってる人を不幸にはしないでほしいものですが。
これまで侮っていた「出涸らし皇子」が、本気の反撃をしてたことで貴族たちも焦りを得たわけですが……あまりにも今更だったなぁ……。
民からの評判も落としそうな策を採用する当たりがアルらしいとも思いましたが。敵の愚かさによって状況が悪化してアドリブ効かせる羽目になったりして、頭痛かった。アルがこれまで敢えて侮られつづけ、反撃したが故の悲劇でもあるのでどちらが悪いとも言い難い気もしますけどね。
しかし帝位争い以外でもこんなこと起きてると、帝国の未来を憂いたくはなりますよね……。
その騒動ののち、レオの初恋の相手である王国の聖女が式典のために訪問してきて。
彼女の接待役をレオが務めることになったものの……どうにも彼女自身に心配事があるようで、陰りが見えた。
それを察し、嫌な予感がしたアルがセバスに調査を命じたりしていましたが。
ゴードンとザンドラが手を組んで計画を実行してるようで、心配が当たってしまったのがなぁ……。