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「僕は知らないからね?」

「勝利には犠牲が付き物だからな」

「自分がそこに入っているあたり、兄さんはすごいと思うよ。すごくどうでもいい場面だけどさ」

 

電子限定で刊行された、書籍12巻の特典SS10編と、WEB掲載の外伝1編とSS12編、書下ろし2編の合計25編を収録した短編集。

カラーの口絵こそありますが、挿絵はないシンプル構成になってます。

書籍特典SS12巻時のものということもあって、内乱が激化している本編中に比べると穏やかでしたね……。

 

いやSSとして切り取れる短いエピソードとなると、そういう時間の方が描きやすいというのもあると思いますけど。

幼少期のレオとアルがやんちゃしてた話を聞くクリスタとか、たまにエルナも混ざってわいわいやってる感じが楽しい。

 

外伝「シルバーの弟子」は、そんなのいるの!? って思ったタイトルで驚き。

本編でそんな影ありましたっけ……って思ったら、帝国出身ながら故あって遠方にいるなら、無理もないのか。

とある依頼から出会った古代魔法の才能がある少女をシルバーが鍛え、彼女の悩みを解決しようとする話。必要であれば、二度と会いたくない相手でも他の寄りに行けるのは偉い。

 

どうしてえ暗殺者だったセバスがアルの執事してるのかを描く「セバス」や、アルたちの母と皇帝の結婚するきっかけ「第六妃誕生」とかの、過去の詳細がわかるSSが特に面白かった。「シルバー誕生」とかもそうですけど。

あと「ロングPV公開記念SS」っていう、明らかに記念で描かれたタイトルのSS。誰からも期待されていた皇太子ヴィルヘルムが健在だったころのエピソードで、兄弟姉妹でバチバチ言い合いしつつも、進む方向は一緒でありまとまっている感じを見ると、なるほど今とは全然違うなというか。そりゃ「今回の帝位争いはおかしい」って声も出てくるよ……みたいな気持ちになりました。

 

書下ろしSSは「レティシアとの出会い」。タイトル通りアルとレオが聖女レティシアと初めて出会ったときの話。「夢の学園」は学園パロディな夢を見るSS

この外典の刊行時期、7巻後だったみたいなのでレティシアのエピソードを書下ろしで入れるのは既読者向けのサービスですかね。良かった。