「もしそうでなくても、レカンは礼をもって接すれば礼をもって返す男であり、暴力をもって接すれば暴力をもって返す男です。ガスコエル様。あなたは礼を返されたいんですか。それとも暴力を返されたいんですか。これはレカンに対してだけの話ではありません。あなたの貴族としてのありようをお訊ねしているんです」
エダやノーマと結婚すること。ツボルト迷宮などを制覇した冒険者であること。
それ以前にも薬聖との縁があったりして、レカンの名前は結構知れ渡っているわけで。
王から呼ばれたとなれば、ワズロフ家としても無下にはできない。
長命種ヤックルベントに会いたくないから王都にはいきたくなかったレカンでしたが、出来る範囲で対策して乗り込むことに。
そうしたらレカンに「お前が異世界の貴族だって言うのは嘘だろう」と因縁をつけてくる貴族がいて。そのありように他の貴族が不振を示してもなおひかなかったため、「真実の鐘」が用いられ……陥れようとしたスマーク侯爵の方が偽りを述べていると証明されたので多少溜飲は下がった。
と思ったらマッドやヤックルベントが接触してきて。……レカンがこれまで逃げようとしてきたの間違いじゃなかったの証明されたな……これは会いたくない。
辛くも逃げ出したレカンを保護してくれたのが、彼が初めて異世界に来た時に出会ったザイドモール家のエザクだっていうのは不思議な縁ですねぇ。
トロンの素材で資金を得られたことで礼を言われますが、レカンはそれを知らないというスタンスを崩さず。事情を汲んで謝罪と礼を言えるエザン、好きだなぁ。
そのあと長男ガスコエルと、騎士オルガノが因縁つけてきた時にもレカンの対応を見て、しっかり彼の側についてガスコエルを𠮟責してくれたし、信頼できる。
この騒動の中でルビアナフェル姫がユフに嫁いだことや、ユフにある迷宮から得られる素材についてレカンが興味を持ったんですから、運命的というか。
6巻の幕間でユフ、大変なことになってましたからね……。
関所で足止めされかけたけれど、レカンはワズロフ家とのつながりや浄化使いのエダを伴っていること、迷宮制覇の実績を伝えることで突破して。
現地でも監視付きの中で情報収集と、救援に奔走するんだから有能です。まぁ情報はぽっちゃり由来なんですが、彼は彼で仕事人ですよね。
ルビアナフェル姫にとって頼れる相手として、祈り待ち続けたレカンなわけですが。
特殊な防壁を張った場所にも侵入できるし、必要な物資運べるし、迷宮に潜っている味方の戦力への応援を頼むことだってできる、現状でこれ以上のことは望めない応援だったのは奇跡的です。
恩寵品の問題もありましたしね……。レカン以外に解決はできず、そしてレカンは活躍しすぎた。それゆえ先んじて一人で帰ることになったわけですが。
この騒動の中でエダとこちらの世界に来てからの話などをして、もし黒穴が目の前に現れたらどうするのかと聞かれたレカンが、基本はこちらに残るし万一向こうに戻るとしてもエダと一緒だ、と離れる気はないと表明したのがとても良かったですね。
それはそれとして、一人で行動するときも変わらず冒険者レカンであるのが彼らしいというか。
白炎狼との激闘の果て見知らぬ土地にきて。未踏のダンジョンを見つけて、ソロで踏み込んでいっちゃうし。浅いダンジョンであったけど強敵がいて苦戦する羽目になってたので、婚前なんだからもうちょっと安全策取ろうよ、と思っちゃいますけど。
そこで退けるレカンでもないからなぁ……辛くも生還できてなによりでした。