「うん。……だってユート君が来るまでは、寂しい気持ちとか、不安な気持ちとか、全部我慢できてたもん」
(略)
「そういうのは、我慢しなくてもいいんじゃないか?」
男だけが使える魂を使った身体能力の強化を扱う騎士と、逆に女性だけが使える不思議な現象を起こす魔法を操る魔女が存在する世界。
この2つはどちらも治安維持のための活動をしているわけですが……どうしても活動範囲が被るため手柄の取り合いになることもあるし、現場の騎士と魔女は仲が悪く出くわしたら言い合いからの喧嘩に勃発することも。
……悪人と戦っているという騎士と魔女が街破壊してたら意味ないのでは……?
そんな中で主人公のユートは、騎士の序列4位の実力を持つ若手有望株。
騎士と魔女の仲が険悪になる一方なのを憂える騎士団長をしている彼の兄は、打開策として魔女のことを知ろうと考えます。正確には「魔女の弱みを知ろう」なんですけども。
その為に打つ手が、女顔の弟を女装させて魔女学園に送り込むって言うのは、奇策すぎるとは思いますけど。
実際潜入に成功してほとんど疑われずに済んでいるんだから笑うしかない。
ユートが選ばれたのはその容姿以外にも、実力があるから敵地に送る形になっても問題がないことや、唯一と言ってよい魔女を悪く思っていない騎士だったということも影響しているようですが。
……騎士団長が唯一と認めたってことは、彼も内心魔女に思う所あるんだなぁというか。
弟を送り込んだ魔女の弱み調査というのは、建前の一つでその裏には別の事情があって。隠されていた秘密のことで思い悩んでいるから、好印象ではないんでしょう。
実際ユートがまだ青い部分がある一方で、団長として場合によっては非常な決断をしなければならないと思ってるっぽいですし。
女性に囲まれて、彼女たちをだましながら過ごすことによってユートも戸惑ってはいますが。魂による強化で斬撃を飛ばして、魔法に見せかけます! とかやってる時点でスペックは本当に高いんですよね。団長に言わせれば、まだまだ使いこなせてないみたいですけど。
これまで把握できていなかった魔女の術や考えを知り、クラスメイトとの交友を続けていく中で、少しずつユートも変化していってる感じはしますが。魔女学園の抱えている秘密が結構大きくて、扱いが難しいのが困りものですねぇ。結構面白かったです。