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「ディアボロス教団。それが僕らの敵だ。彼らは表舞台には決して出てこない。だから僕らも陰に潜むんだ。陰に潜み、陰を狩るんだ」

 

表向きは人畜無害なモブだけれど、その実「陰の実力者」であるキャラに憧れていた主人公。

花形であるところのヒーローやラスボスではなく、陰ながら介入し実力を示すようなそんな存在になりたかった。

まぁここまでならちょっと変わってるけれど、分からないでもないです。どんなキャラ造形が刺さるかなんて人それぞれですからね。

 

でもこの主人公のすごいところは、実際になるための努力を続けまくったことなんですよね。とはいえ現実社会には核などの兵器が存在するし、そもそも個人の武勇を伸ばしたところで鍛え上げた軍人に囲まれたら終わりなわけで。

それに対抗するために超常の力――魔力でも気でもなんでもいい――すら求め始めた。

狂気的な足取りで夢に向かっていた主人公は事故で命を落とし、魔力が当然のようにある世界へと転生した。そして前世の記憶そのまま保持しているとなれば、そりゃ同じように「陰の実力者」を目指して驀進しますよね……。

 

魔力という下地を得た主人公は今度こそ核にも負けない力を得ようと裏で奮闘し、表向きはモブを装い続けた。

それで実際に実力者になってしまうんだから、凄まじいというほかない。

自分に相応しい武器としてスライムを用いた武装を作ったり、実戦経験積むために密かに野党退治したり、割と好き勝手してますよねぇ。

 

その過程で彼は異形と化した少女と出会い、実験のつもりで行った魔力操作で少女の本来の姿を取り戻すことに成功。

救われたことで心酔する彼女には、ぜひとも「陰の実力者になる夢」に付き合ってもらおうと決意して、この世界の伝承を基にした作り話を披露します。

そしてなんということでしょう。作り話だったはずのそれは世界の真理をついており、彼が組織した陰の組織「シャドウガーデン」は、歴史の裏で暗躍を続けていた「ディアボロス教団」と敵対することになります。

 

主人公は最初の実験以降も多くの少女を救って同志を増やし続けていた一方で、ディアボロス教団なんて存在しないけどねーと、夢を追う自分を楽しんでいるようですが。

救われた少女たちは独自に調査を進めて歴史の真相に迫り、主と仰ぐ彼をサポートするために力を尽くすわけです。

迷子になった主人公が逃げ出した敵の首魁と鉢合わせたりして、すべては手のひらの上感を演出できる運の良さだとか。救われたことで少女たちが信者と化しているから、とか色々重なった結果ああなってるので、主人公の演技に気付くことはなさそうだなぁ……。

読者目線だと大分テキトー吹いてるんだけどなぁ……。

でも、なにもわかっていない主人公が、ノリと勢いと夢で敵の計画ぶっ壊していくのは面白いので割と好き。