私の名はマルカ。母様と父様からもらったこの名前を誇りに、自分の人生を生きていく。
平民の孤児として育ったマルカ。
父の記憶はかすかにしかないが、母は昔領主様のお屋敷で働いていた経験もあったとかで多くを教わって、大切な思い出として抱えてきた。
善良な領主の下で運営されていた孤児院で勉強もさせてもらえた彼女は、15になった時に義務である魔力測定に参加。
そこで基準以上の魔力が測定されたため、貴族も通う学院に進学する必要が出てきて。これは魔力の制御を学ぶ必要があるとか。
進学が決定したタイミングで、マルカを家に迎えたいと申し出たのがレイナード伯爵。
善意であればよかったんですが……彼は「実はマルカは自分の娘である」という偽りを唱えた上で、彼女を駒として動かし王太子を誘惑しようと画策します。
敬愛してる父母の思い出を汚されたことでマルカは内心怒りを覚えますが、引き取られて味方がいない状態でむやみに逆らわない選択ができるあたりは偉い。
表向きは愛想笑いして、内心で毒はいてますけどね。厄介なことに巻き込まれてるけど、それはそれとして学院での勉強を楽しんでるマルカは、当人はそこまで自覚してないうちに魔法の扱いにかなり習熟していって。
マルカのことを面白く思わない相手からの嫌がらせがあっても、それで自分の身の安全を確保してたりするので強い。
レイナード伯爵たちの目論見を察知したときに、その情報を王家に流して、それからも協力することで彼女は功労者として認められ、伯爵家の悪事は裁かれたわけです。
めでたしめでたし……というのが1章。もともとこのあたりまでを短編として描いて、人気出たから連載にした作品だったはずですね。
伯爵家ではろくに世話もされていなかったけれど、差し押さえられたことで家なき子になったマルカは、この問題で縁が出来た王太子の婚約者クリスティナの実家にお世話になることに。
それがサブタイトルにもある、公爵令息の実家でもあって。調査のために近づいてマルカに興味をもった子息が、彼女にアピールを続ける中でマルカも意識していく王道の展開ではありますね。
マルカの両親の調査をしようって話があったけどその結果は描かれてないし、細かいところで引っ掛かりは覚えますが、マルカが結構好きなキャラ造形してるので楽しく読みました。