「春は無事 此処に います」
季節の巡りを人から選ばれた「代行者」が担う世界。
代行者たちが儀式を行うことでその土地の季節が切り替わる、という重大な役割をもつ現人神なわけです。
その力を狙う過激派なども存在し……春の代行者雛菊は誘拐されていたことで、大和には10年も春が来ない期間があって。
帰還した雛菊がついに代行者としての活動を再開するわけですが。
専属護衛であるさくらが雛菊の安寧を何よりも大事にするため、10年ぶりの春到来を盛り上げたい四季庁との折り合いは良くないようです。
……雛菊たちの事情を考慮せずヘリで乗り付けるような真似して、むやみやたらと注目集めてる当たりはダメダメすぎるというか。
誘拐された過去があるんだから、初回の春顕現に関しては石橋をたたいて渡るくらい慎重でもいいくらいだと思いますけどね……。
代行者を管理する組織として四季庁側にも言い分があるのは、分からないでもないですけど、やり方が悪い。
過去のトラウマを抱えている冬の主従……特に従者側が過激な賊への警戒を怠っていないのを見るに、春の職員たちの在り方はうーんって感じではあります。
……まぁ冬の代行者も、我を通す部分はありますけどね。はい。
春夏秋冬代行者の世界は、現人神と民の間に温度差があったりして、綺麗だけど厳しい部分があります。何もかもうまくはいかない苦さがある、現実と同じではありますが。それでも雛菊たちが前に進もうとする姿勢が美しくて、それを鮮明に描いてくれる良いコミカライズだと思います。2巻以降も楽しみです。