「もっとも、参加するからには全力でやるつもりだし、わたし自身もプレイヤーには違いないのだから、わたしが勝って街が滅んでしまっても、それはそれでイベントの結果だということでいいよね」
WEBからの書籍化。
元は小説家になろう連載で、カクヨムに移行時に加筆修正されて、第7回カクヨムコンのキャラ文芸特別賞を受賞して書籍化した作品ですね。
なろう掲載の頃から読んでいたので、この書籍化はとても嬉しい。
キャラメイク時に人類種か魔物かを選ぶことができるVRMMOゲーム。
経験値を消費してスキルを獲得していくことで、独自のキャラビルドにしていくというシステムを採用。
プレイヤーとNPCの違いは「システムメッセージ」を聞けるかどうか、というただ一つのみ。
主人公の女性レアは、最初こそそうした設定をあくまで道徳的な観点から設けられたものだと思っていましたが……早い段階でNPCと交友したことで、仕様の裏事情を見抜いて。
普通のプレイヤー的にはこのゲームは剣と魔法のRPGなんですけど、レアはNPCの配下を獲得したことで、一人だけダンジョン経営シミュレーションのようなことを始めることになるんですよね……。
オープンβを終えて正式サービス始まったところなのに、別ゲー始めるプレイヤーが現れて運営側割と慌てただろうなぁ、というのが合間に挟まるシステムメッセージから伝わってくる。
仕様の範囲内なので咎められるようなことはないですけど、運営の予想を超えてきたレアのせいでイベントの予定変更したりしてますしね……。
レアがせっかくだからと悪役RPを満喫しててとても楽しそうなのが良いですねー。
サブタイトルにある通り、1巻ではエルフスタートしたレアが「魔王になるタイムアタック」を意図せず行っていく展開ですね。
あくまでレアのプレイングは特殊だって言うのが、ウェインという一般プレイヤー視点が挟まることで色濃く演出されるのが面白い。
1巻で魔王降臨までを描きたかったからか、WEBからはエピソードの順番調整入っていて、ブランちゃん視点はバッサリカットされてたので、2巻以降での登場を心待ちにしています。出ますよね? 出てほしいなぁ。
ゲームスタートからある程度の戦力を確立するまで、というあくまで準備段階のエピソードであって、これから規模がどんどん広がっていくのが面白いんですよ。