「何を今更。私はいつだって大した奴だ。でなくば貴様の宿敵など名乗れるものか」
「ああ、そうであったな。其方は確かに余の宿敵を名乗るに相応しい存在だ。今、改めて心からそう思うよ」
レオンの下へ行くことを決めたルファス。
しかしそれはつまり、近くにいる七英雄ベネトナシュに近づくことでもあって……待ちきれずベネトナシュの方からやってくるのは行動力ありすぎ。
むしろよくこれまでちょっかい出しに来なかったな……。初回は招待状を渡すにとどめてくれましたが、訪問してからはドンパチ始めるし。
これまでの実績からルファスがトンデモなのはわかっていましたけど、ベネトナシュもまた自力でレベル上限を突破するまでに至っていたのが凄まじい。
ベネトナシュ的にはルファスのことを、むしろ好いているし認めてるけど……だからこそ挑まずにはいられない、というあたり難儀ですねぇ。
そんな彼女の一撃すら、微睡んでいた「ルファス」を起こすきっかけにしかならないって言うあたり、ルファスはもうこの世界のバグか何かでしょ。
ルファス抜きでレオンと対峙することになった十二星のメンバーでしたが……強大なスペックを誇るレオン相手に、協力プレーで有利を取ったのはお見事。
しかしまぁ、女神の誘惑をはねのけたベネトナシュの後に見ると、レオンの小物感じがヤバい。
でもスペック最強のレオンに、最弱のアリエスが「自分は信じられないけど、ルファスに与えられた力は信じられる」と有効打を入れた展開は熱くて好き。
レオン小物でおバカな子という印象は強かったですけど、ルファス的にはそういう所が猫っぽくて可愛いという認識らしいって描写もあって、なるほどなとはなった。
巻末SSは「竜王が勝負を仕掛けてきた」。
クラウン帝国に喧嘩を売ってきた竜王ラードゥン。ルファス達のような例外を抜きにすれば、人類が及ぶべくもない相手。
戦う中でどうしても犠牲は出るだろうから、と弱気になったトップがルファス達を引き渡す判断を下して……むしろそれを好機として竜王狩りに行くあたり、強すぎるんだよなぁ……。
「一般人は語る」はベネトナシュとルファスの戦いを遠くで目撃した、一般吸血鬼視点の話。いやまぁ、ステータス差がありすぎて、実際ろくに観測はできなかったみたいですけどね。