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「ここにいるんだ。頭を出すなよ。――後はヴィル君を信じるしかない」

(略)

「余計なお世話よ。――わたしはいつだって信じているわよ」

 

『アリソン』完結巻。

戦争でのし上がった鉄鋼会社の社長であり、多くの恨みを買っているテロル氏。

命を狙われているらしい彼とその護衛、協力関係にあるストーク少佐の思惑によってアリソン達4人は他の乗客とは別行動をとることになったわけですが。

 

敵は、かなり大がかりな装備で追いかけてきて……。

アリソン達も車両一つを燃やした上で切り離して、後続の追手との距離を取ったり、テロル氏の「荷物」を使って蹴散らしたりとしていくわけです。

嫌なキャラとしてふるまい続けたテロルが、報いを受けたのは良かったですけれど。

戦時下ゆえに見逃されていた問題が浮上した結果の騒動に巻きこまれたアリソン達は、本当にお疲れ様でした、というか。

終戦した直後であることや、やっと安定に向けて動き出した時代のスキャンダルを嫌ったからと言って、随分な作戦を考えたものだなぁとは思ったり。

 

当初の目的地とは違うけれど、スー・ベー・イルにたどり着いたアリソン達。

ベネディクトがフィオナを射止めたのはお見事というか。たびたび問題が起きて先送りになっていたアリソン達に比べて、あっちの2人はもとから順調だったからな……。

そして鈍いヴィルに勢いよくぶつかっていくアリソンなのでした。まぁ、この2人はあれでいいコンビだからな……。

 

ヴィルが危険と知りつつ同行することを選び、解き明かした真実によってストーク少佐の苦労が発覚するわけですが。

決着をつけに来たら、過去の亡霊がやってきたわけですから、そりゃ大変だったことでしょう。非常な行いをしようとしていた彼にも、切り捨てられないものがあったわけで、人間らしくて嫌いじゃないです。