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「……きっと、今の夢はリッドの記憶なのだろうな……僕に見せたかったの? 家族を救いたい一心で君は……」

(略)

「うん……そうだね。約束する。君は僕だから、絶対になんとかしてみせるよ……」

 

BOOKWALKER読み放題で読了。期間限定タイトルで131日まで。

戦闘や領地開発といったオマケ要素の評判が高い、作り込みを間違えた感がある乙女ゲーム。

後輩から進められてそっちのオマケ要素を満喫した主人公は、気が付いたらゲーム世界に転生。成長すると悪役モブになるリッドという少年の幼少期に、前世の記憶を取り戻します。

 

ゲームの正史では、慕っていた母が病気になったことで家族間の空気が悪化し、そのまま母が病没。そこからズルズルと転がり落ちて、モブとはいえ悪役の道に進んでしまったようですが。

記憶を取り戻した時点で、母はまだ存命だった。リッドはゲーム知識を活用して、なんとかその治療薬を作れないかと奔走することになります。

リッドはモブらしく初期能力値は低いものの、魔法の適性は高い大器晩成型で。自身の能力を向上させる傍ら、この世界になかった化粧品などを開発し、商会の伝手を作り必要な素材を集めて。

 

魔法の教師として雇われた人物が、研究者としての顔も持っていて。協力関係を結べたことで、ある程度特効薬の形にすることができたのだから凄まじいの一言。

作中において本来は致死の病と認識されてたみたいですからね。完治には届かずとも、先延ばしにできる薬はそれだけで価値があるでしょう。

父にだけは前世の知識があることを打ち明けたり、リッドなりに出来ることをやってはいますが、視野が狭い部分もあるので周囲の人々が助言をくれる良い環境にあるのは救いでしょうか。

 

時折、他視点を挟みつつ進行していく、典型的な「異世界転生モノ」という感じですねー。

前世日本人故の甘さがある主人公がお忍びで他国に行こうとしたのは、父も当主としては叱らないとならないでしょうけど。

……家庭を顧みず、空気最悪な状態にしていた失態とか。その事実に気付き荒んだ息子を放置し、家庭教師もつけてなかったくせに「軽率なことをするな」と叱ったりする父の評価が今一つ。

後ろ4分の1くらいが、番外編ですね。
「クリスの反省と多難」、「ファラ、バルディア領に行く」、「魔の森の『魔物』」、「外伝 物語の始まり『ライナー・バルディア』と『ナナリー・ロナミス』の出会い」を収録。
また電子版のSSで「ルーベンス幼少期」、BOOK☆WALKER限定の「メイドは見た ダナエ、メイド道の始まり」などを収録。
サブキャラの掘り下げエピソードが多いので、原作好きだった方にはオススメ出来るのでは。