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「いいえ。変えることはできます。私はその為にここにいる」

(略)

「大丈夫です、レイラ。貴女の聖女は絶対に死にません。私は必ず、この悲しい運命を、この時代で断ち切ってみせます」

 

魔物を生み出す魔女を倒した聖女は、次代の魔女になってしまう。

世界が抱えた歪みをこの世界の王族は当然把握していて……城には監獄に変わる仕掛けや、聖女を殺すための魔物などが飼われているなど闇が深い。

 

エルリーゼは前世知識でお菓子作って賄賂贈ったり、聖女としての名声を高め続けることで付加価値を増したようです。

前世知識がある影響も大きく、彼女の価値観は結構ズレてるし……そもそも周囲と自身の評価にも差が大きすぎるんですよねぇ、エルリーゼ。

エルリーゼは自分が偽物だとわかっているからこそ、色々と手を打てるわけですけど。そんな事情を知らない人々からすれば、歴代最高と謳われる聖女なわけで。

 

学園長が起こした事件で近衛として傍にいるレイラが、聖女の真実を知って揺れてしまったり。

名声を高め過ぎたがゆえに王族に監禁されたりする羽目になるんだから、何事も上手くはいかないというか。

まぁ王族目線でいうと、次の聖女が覚醒する時間に対して次の魔女が活動を開始するまでの時間の方が短く、厳しい戦いを強いられる状況があり……その状況を打ち破ったエルリーゼを長く使おうと考え始めるのは、貴族らしいと言えばらしい。

 

実際のところ皮算用にすぎなくて、エルリーゼは偽聖女だからその計画破綻してるし……前世知識を持っているとはいえエルリーゼの奮闘で押し返した実績があるのを見ると、これまで何してたのみたいな気持ちにならないと言えば嘘になる。

その後に発生した王都襲撃イベントにおいて、絶望的な状況であろうとエルリーゼという光を信じ戦い抜いた騎士達の存在とかもありますしね……。「もう十分逃げた」から、戦うことを決めた人々の覚悟がとても良かった。

 

前世の自分とエルリーゼが会話して情報収集するパートが、「転生しきってないから、残りの魂を回収するためにこちらにやってきてる」って推測してくれたのは個人的には嬉しかったというか。

最終的には「そういうものなんだよ!」で楽しめばいいですけど、作中で理屈語ってくれると解像度あがるじゃないですか。

 

ネットで「エルリーゼルート」のある程度の情報は集められるけれど、確定してない未来のエピソードについては観測できない。だから結局はエルリーゼがなんとかするしかない、って塩梅も好き。

前世サイドもただ彼女を待つだけではなく、独自に調査したりもしてくれてるんですけどね。

……それはそれとして、確定したイベントでは自分の行動がゲームに反映されてプレイ動画も見られるせいで、自分が攻略される様を見せられるってのは、かなりの羞恥プレイだとは思います。はい。