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「その“宝”がなんだか知らないけど――」
「けど?」
「わたしが最初に見つけたらぶっ壊してやるわ!」
再読。映画撮影会社「ライリー・プロダクション」の顔を被ったテロリスト達は、女王とその夫に銃を突きつけ、イクストーヴァ王家に伝わる秘宝について問うて来たわけですが。
隠された双子の妹だったフィオナは、その口伝についてさっぱり知らず。
ベネディクトの策で詳しそうな相手から情報を引き出そうとするわけですが。さすが元軍人、銃を向けられた中でそういう振る舞いが出来る肝っ玉はお見事。
敵の首魁はかつてイクストーヴァの王族を殺したオーウェン・ニヒト―の娘、クレア・ニヒトーで。
彼女は、今回の一件の中でイクストーヴァの王室警護官の反応を見て、狂信者呼ばわりしたわけですが。
王家が隠している宝が戦争の利になるなら、開示しましょう! と踏み込んだら危険視されて追放されて。復讐のために王宮に攻め込み殺害に及んだ父が、生き残っていた王族に罪を糾弾されて自殺した。
そして遺書でその出来事を書き残していたため、王家を憎悪するようになって20年弱の時間を復讐に注いだクレア達もまた狂信者の類だと思うんだよなぁ……。
オーウェンを追放するにとどめた前女王や、オーウェンとの最後の約束を守ったフィオナの対応は、かなり穏当だと思いますが。そうやって拾った命を復讐に使うんだから報われない。
そんなニヒトー一派が求めた宝の正体が「アレ」だっていうのは、皮肉が効いててよかったと思います。
親世代の因縁に巻き込まれた子供世代、トレイズとリリア。かなり綱渡りではありましたが、その行動がトラヴァス達を速やかに呼び寄せる結果になったわけですから、結果的には良かったと言えるか。
今回のサイドストーリーは『メリエルとトレイズ』。
幼少期からヘタレというか、メリエル相手に勝てないトレイズよ……もうちょっと頑張れというか。単純な彼が上手く周囲に転がされてたのは笑えた。