「……蝶じゃないなら、君は何なんだろうね」
(略)
「私は薬でしょう。貴方の傷を治すんですから」
両親を亡くし一人で薬屋ディベートを営んでいる少女、シルル。
彼女は魔法使いの一族の末裔で治癒魔法が扱える他、他人の頭の上に感情を示す線を見ることが出来て……。それを基に助言をしていたら、腕利きの占い師として人気を獲得することに。
この世界における魔法使いの魔法は血族にしか遺伝せず、それも絶対ではない。さらに、その力を求めた権力者に囲われた過去があるために、どんどん秘匿されるようになり廃れていったそうですが。
そんな環境の中でシルルはもうちょっと警戒してもいいんじゃないかなぁとは思いました。治癒の力は伏せてますが、死に近づく線が見えると放っておけなくてアドバイスしちゃう彼女の性格は好きですけど、危うさもあるので……。
一方の花騎士はその容姿から街の女性に人気の人物。
当人は外見しか見ない女性に迫られ続けた経験から、筋金入りの女性嫌いではあるみたいですけど。甘い顔をして近づけば情報を得られるからそれを活用していたとか。
そんな彼が、自身に迫っていた死の危機を回避する助言をくれたことや、街に迫る海賊について予言した存在がいるらしい、と噂を聞きつけてシルルに接触してきたわけですが。
花騎士に興味を持たず、彼が隠していた傷の治療の方に意識を裂くシルルは、彼にとっても珍しい存在だったようですね。
そうして交流をしていく中で、互いの距離が近づいていくラブコメ。シルル視点から物語が始まるのもあって、彼女の隠していることを探ろうと近づいてくる花騎士にあまり良い印象はないんですが。
……まぁ、彼の立場であれば調査しないといけないのも分かりはするんですけどね。
序盤の接触の仕方とかは苦手ですが、中盤以降の微笑ましい交流は好きです。