「……その目に焼きつけてください」
(略)
「貴方の呪いが、もたらしたものを」
学院も冬休みに突入し、予定ではモニカはイザベル達と一緒にケルベックへと帰郷するつもりだったようですが。
星詠みの魔女がこの冬に竜害が起きると予言したため、沈黙の魔女であるモニカは戦力として数えられるだろうから、残ることとなった。
……そこまでは彼女達の予想通りだったわけですけど、予定外なのは時を同じくして行われる第二王子と隣国との外交における護衛を任されることになってしまったこと。
万が一にもセレンディア学院の生徒会会計モニカ・ノートンが、沈黙の魔女モニカ・エヴァレットと同一人物だと見抜かれるわけにはいかない。
そうでなくても第二王子は隠れ沈黙の魔女ファンであるため、接触には注意が必要。
さらに当初の予定ではルイスが同行してフォローするつもりだったそうですが、防御能力にたけた彼を王都から離すのを渋られたせいで、代理として彼の弟子であるグレンがやってくることになったんですから、悪いことは重なってます。
モニカにとってなかなかハードルの高い任務になってしまいましたが、顔を隠した上で、人型になったネロを従者として扱い会話を任せることで、綱渡り状態の日々を過ごすことに。
そんな中で異常な竜の襲撃を受ける羽目になるんだから、災難というほかないですけど。
竜に起きている異変を察知し、その場で不完全ながら対策の術式を組めるあたり天才ですよね、本当。
今回の一件でネロの正体が明らかになったりしてましたが、対人関係はさっぱりでも強いモニカらしさを感じましたねぇ。
暗躍している公爵の操り人形で終わるつもりがない第二王子だったり、モニカを怪しんで調査を入れているブリジット嬢だったり、気になる動きはまだまだ多い状況で。
モニカが父の死にも隠された事情があると知り、これからの彼女がどう動くのかも見逃せません。