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「これは、目印です」

そして放たれたのは、静かな、しかし確かな、宣言だった。

「見失わず、見ていてもらえるように、でも大事なのは、私がそれにふさわしい自分であることなんです。だから……私の願いが叶うとしたら、それは私が叶えるからです」

 

エクソシストの真似事をして、衣緒花の悪魔祓いにかかわった主人公。

それ以降、彼女との接点がどうしても増えてきて。

1巻終盤の「炎上事件(物理)」は中継されていたが、原因不明ながら事後対応が完璧だったことで鎮静化までは早かったそうです。

それには今まで衣緒花が堅実に仕事をしてきた影響もある、と地の文に描かれていたのが嬉しかったですね。

 

「ずっと見ている」という約束をたがえず、彼女の傍にいる。そのことに不思議な安心感を感じてるのも、見ている分には楽しくて良いですね。

衣緒花とロズィの関係も緩和したようですし、騒動の影響が残っていない日常が見られるのはありがたい。

……まぁ衣緒花の周囲が落ち着きつつある一方で、主人公の友人である三雨に悪魔付きの症例が現れるんだから、万事うまくは行きませんが。

 

あと有葉くんに解決押し付けて海外行ってた佐伊先生が、何食わぬ顔で戻ってきて汚部屋に2人を招待してたの、いろんな意味でタフな人だなぁとは思いました。

悪魔に関しての文献を求めて旅だったわけですし、アドバイスはくれるし衣緒花に戻ったアミ―の対処もしてくれたから、結構頼れる人のはずなのにあまり頼りたくない不思議。

 

実際、悪魔は青春に寄ってくるから学校なんて格好の舞台だし、1回解決した実績もあるんだからこれからも解決に協力してよ、とか言ってきますからね……。

……まぁ、完全に押し付けてるわけじゃなくて、有葉くんの行方不明の姉に関しての情報、その手がかりをくれたりもしてるので、ただ働きってわけでもないですけど。

 

衣緒花だったり、三雨だったり。悪魔に憑かれるほどに、青春に焦がれている……強い「願い」を持つ少女たちと交流する中で、自分の中には彼女たちほどの熱も確かな軸もない、と有葉が迷い続けているの、それはそれで青春の形だとは思いましたが。

自身の不足を感じて揺れ続けている彼には中々届きませんよねぇ。

 

三雨の抱えている問題に答えを出すことはできる。けれど、それを選ぶことは難しい。即答できない時点で答えになってしまってるのは、非情ではありますが。

回答できない有葉の代わりに衣緒花が動くのが面白かったですし、三雨も少し前に進める結末になったのは良かったですね。

有葉と対峙しているときの衣緒花が可愛くてそれもとても良かった。……またぞろ終わりに不穏な展開が待ってそうな引きでしたが、どうなるのやら。