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「必ず、無事に下山しましょう。俺が絶対に、バルドル山脈の外へ送り届けるって約束します」

(略)

「ほんと、あの方たちが言った通り……すごく優しいひとなんですから」

 

ゲーム時代の自分が命を奪うことになった少女、リシア・クラウゼルと不思議な縁を結び、彼女の窮地を救うことになったレン。

その際に大きな傷を負ったレンは、男爵家に治療を受けていたわけですが。ポーションとか使ってもらって、筋肉の衰えも最低限になっていたとはいえ、動けるようになってまず剣の鍛錬を開始する当たりが彼らしい。

逃避行の時にリシアと約束した立ち合いを実現するため、という理由もあったみたいですけど。

 

本格的な立ち合いの前に、軽いリハビリと称してリシアと剣を交える機会もあって。

実力と人柄をクラウゼル男爵家の騎士や給仕たちにも認められることになるわけです。

レンは当初怪我が治ったら故郷の村に戻ることを考えていたけれど、クラウゼル男爵家の人々は、リシアとの相性もいいし家に残ってもらいたいと思っていて。

故郷の父母からの手紙を読んだりしてレンの心境も少し変わり、生活環境の面ではクラウゼル家のお世話になりつつ、冒険者としての活動を始めることに。

 

予期せぬ行動をとったランクの高いモンスターと戦う羽目になったり、ゲーム知識を活用して貴重なアイテムを入手し、それをリシアの誕生日プレゼントにしたり。

レンはおおよそ順調に活動をしていました。……ただ、トラブルって言うのは向こうからやってくるものですからね……。

 

今回はレン視点だけじゃなくて、1巻の彼の行動によって救われたイグナート家の人々の視点も盛り込まれてます。

ゲーム正史では失われるはずだったフィオナが生存して、リハビリを頑張ったりしてる姿は本来見られなかった風景なわけで、素直に良かったと思えます。

……ただ、それによってゲーム時代にはなかったイベントが発生したりするのは避けようがないですよねぇ。

 

学院入学前のフィオナでしたが、とある陰謀によって最終試験会場が危険なエリアに指定されてしまって。

それがクラウゼル家近くの山であり、緊急用の狼煙が上がったことで救助のために騎士が派遣される運びとなり……レンもその一団に混ぜてもらい、意図せず救った少女と出会うことになって。

現場で暗躍してた駒があっさり蹴散らされて、それ以上の脅威と戦う羽目になっていたあたり、レンの運命はなかなか呪われているというべきか。毎回辛くも命を拾ってるから強運の賜物というべきか。

今回の騒動を超えて、書籍で加筆されたセラキアの蒼珠にも変化が出てましたし、発売決定してるという3巻を楽しみに待ちたい。