「みんなをまもってくれてありがとう。よくがんばったな。だいすきだぞ、セフィ」
日本でプログラマーとして働いていたOL主人公は、しかし過労死してしまったらしく……。
気が付いたときには魔法が存在する異世界で、幼女セフィリアとして転生していた。
0歳児の時から意識がハッキリしていた彼女でしたが、流石に異世界の文字は読めず。気になって繰り返し手を出していた本が、ある日魔導書であることを知ります。
そしてプログラマーとしての経験も活かし、それを解析することに成功し、魔導師としての才覚を示すことになるという、よくある転生モノのノリではあります。
ただ、この作品が異質なのは1巻時点でセフィリアの年齢が0~1歳時までという子供というより赤子と言った方が正しい狭い時間で終始するところでしょうか。
0歳児ながらハッキリと喋り、論理的に思考し、魔術を操る。これはもう早熟な子という言葉で収まる範囲ではなく、はっきり言って異常です。
しかしこの世界には、かつて魔族との戦争のさなかに生を受け「生まれながらにして高い知性と教養を備え、やがてその力で魔族を追い払った」勇者アインという伝説があるそうで……。
異常だからと排斥されることはなく、むしろ勇者の再来か、と逆に拝まれることになるんだから、そこは幸いでした。
転生者が異世界で才能を示し、家族は受け入れてくれたし、国王などの上層部も彼女を認めてくれる。
幼女が地位を得たことを面白く思わない現場の人間はどうしても出てきますけど、テンプレに沿った王道の展開が待っている作品であることは間違いありません。
だから、主人公が0歳児で活躍しててそれを受け入れた上で地位を与えてくる王様とか、現代人の価値観では引っかかる部分を飲み込めれば楽しい作品だと思います。
私は0歳児に貴族としての地位が付属する役職を下賜してくる部分とか、期待の表れにせよちょっとどうかなぁと思ってしまって微妙に入り込めなかった。