「お前は菓子作りを好むと聞く。そして、今までも多くの歌詞を作り出してきたと調べもついている。ならば、ルニキスの為に、その知恵と腕を振るってもらいたい。国威の為だ。この際、常識の範囲内であれば制限なしで良い。求めるものは“外国の大使たちを唸らせる菓子”だ。できるか?」
「陛下の勅命とあれば謹んで拝命いたします!!」
第32章「スイーツと冷たい関係」、32.5章「嬉しい報告」を収録。
ヴォルトゥザラ王国での任務を終えて無事に帰国したペイス。
王子の外征が無事に成功したことを祝した帰国パレードが開催される運びとなり、ペイスも同行者としてそこに参加する必要に駆られて。
政治も軍事も出来るけど、一番肝心なのはお菓子作りという優先順位のペイスにとってみればありがたくないイベントでしたが、まさか逃げるわけにもいかず。
スクヮーレになだめられてるのちょっと面白かったし、地の文でスクヮーレが「ペイストリー取り扱い検定三級保持者」って語られてるのには笑った。
ソラミ王国からの全権大使としてやってきたアモロウスも無事に国王からの身分保障を受けられることになったわけですが。
外国からの要人を招いたことで、神王国でも社交の場を持つことになって。今回の外征で異国で菓子作りをしたペイスに、故郷でも同じことできるよな? と国王から勅命が下されることに。
王の命令で菓子作りできる機会をペイスが逃すはずもなく、詳細聞く前から承諾してたのはあまりにもペイス過ぎて愉快だった。
内々に打診されたときに同行していた父が焦って止めていたのは笑えます。お疲れさまでした……。
勅命を盾にお菓子作りに打ち込んで、仕事が溜まってシイツは大変な思いをしてそうでしたけど。
せっかくだから最上のものを作ろうと視察に出かけた先で、不審な動物の死体を発見して。お菓子絡みだと暴走しがちですが、外敵の可能性を考慮してしっかりと兵を動かして対応に動けるあたり、やっぱりペイス優秀なんですよね……。
肝心の脅威と遭遇したとき、初手逃走を選んでましたけど被害も出してませんし。
さてどうなるものかと思ったら、ここでピーちゃんが活躍してくれて。ペイスは素直に喜んでますが、さすが大龍の子供というほかない戦闘力でしたね……。
32.5章は、無事に新たなお菓子を作ったペイスが国王から称号を授与されて、いろんな家から交流を持ちたいと手紙をもらう羽目になって。
妻リコリスと良い関係を気付いているからこそ、婚姻関係を望むような家だったり、何してくるか読めない聖国からの招待なんかは断ってましたが。
それでも断れない付き合いっていうのは存在するわけで。今回は中でもレーテシュ伯爵家とボンビーノ子爵家との社交について描かれていました。ウランタがかなり頼もしく成長していて良かったですね。