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「ここが私の、カエハ・ヨソギの、剣の道の、人生の果て」

 

BOOK☆WALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで6月末まで。
エイサーは久しぶりにヨソギ流の道場へと帰還。

カエハの息子シズキが当主になっていたり、かつて成長を見守った子供たちが成人し、それぞれに子供が出来ているなど時間の流れを感じる描写が多かったですねぇ。

……そして、カエハの子供が成長しているということは当然、彼女も同じくらいの時間を重ねているわけで。

つまりはハイエルフとして長くを生きるエイサーが、定命の人々と交流する中で避けられない別れが迫っていたわけです。

 

そんな中で、良き人々に見守られて育ったハーフエルフの子供ウィンが、エイサーの元から巣立つ決心をしたりと、序盤は別れが重なりましたね……。

そうやって喪失を積み重ねながらも、歩みを止めないあたりが実にエイサーらしいとも思いますが。

目的をもって西に向かうウィンを見送り、彼自身は大陸を東へ東へと進んでいくことにして。そこでまたいろんな人々と出会うことになるわけです。

 

例えば、大陸東部に広がる大草原に暮らす遊牧民だとか、古き伝承が継がれている黄古帝国だとか。

遊牧民たちとの交流は、風の精霊に頼まれ彼らが気に入っている子を助けるため、争いに介入したりもしてましたね。そこで全面的に襲われていた部族の意見を肯定するでもなく、我を通しつつ子どもを育てているのも彼らしかったですかね。

巻末の番外編『風』ではエイサーが助けることになった少女である、風の子ツェレンの心情が描かれていて、彼女の解像度上がったのは良かった。

 

あとは黄古帝国で仙人が登場したことで、エイサーがハイエルフの長老衆が隠していた事まで連想できていたり、新たな出会いもあったりしたのが面白かったですね。

エイサーがとある相手に旅路を語ることになって、大分帝国には滞在していたみたいですけど、トップの内2人の描写がないのは気になってたんですが。

いつか彼が帝国に害を為す相手と化したときに冷静な判断を下すため、会わない決断を下していたそうで。バランスに気を使いつつ続いてきた国なんだなぁ、と実感しましたね。