「恐怖を消すには勝利が一番いい。それが小さな勝利でもな」
無事に3巻が発売してくれてとても嬉しい、お気に入りシリーズ。
2巻で難民護送任務を無事に終えたヴェルナーは、家の騎士団を指揮して水道橋付近の巡邏警備などを行っていた。
そうした任務を果たしつつ、裏では暴走ののちに消息不明となったマンゴルトについて考察していたり、ヴェルナーは本当に真面目ですね……。
難民がやってきて食い扶持が増えた問題はあれど、なんとか対応できそうかと思っていたところに急報。
魔族の軍が活発に動き出し、都市に被害が出たために緊急出動令が出されることとなって……。
またしてもヴェルナーは実家の騎士団を率いて、現場に派遣されることになります。王国において三度しか出ていない「緊急出動令」が出されるほどの危機、と即座に察しがつくあたりは前世知識の底上げありますけど、普通に優秀ですよねぇ。
書籍版で何かと描写が増えているフュルスト家のタイロンなんかは、目先の問題しか見えておらず当主がため息つく場面もありましたし。
……そうやって文官系の家なのに優秀さを見せつけてくるから、反発する輩も出てきてしまうんでしょうけど。
かなり早い段階で戦闘地域に駆けつけたヴェルナーでしたけど、そこで勇者と旅をしている筈のフェリと遭遇。
ここにヴェルナーが来るのを読んでフェリをメッセンジャーに派遣したマゼルも偉いし、そこで得られた情報を重視して即座に動けたヴェルナーも見事だよなぁ、コレ。
マゼルが先んじて渦中に飛び込んだため、今しばらく時間はある。しかし、そうやってマゼルが目立ったことで彼の家族に累が及ぶかもしれない、と動けるのがすごい。
フェリもしっかりと情報持ち帰って、勇者の見せ場作ってますしね。勇者側とヴェルナー側と解決に動いた事態がどちらもギリギリだろうと間に合ったのは何よりでした。
あとマゼルの家族を保護した後の道程も加筆でボリュームアップされてたし、リリーとヴェルナーが一緒に居る挿絵があったりしたのはWEB読者としては結構嬉しかったですねぇ。無事でよかった。
……まぁ、またしても軍規違反で追及を受けることになったりしてましたが。
フュルスト家が恩もあるから、とヴェルナーが居ないツェアフェルト騎士団が使い潰されないようにしてくれてたり、これまでの行いが無駄になってないのが良かった。
ヴェルナーの行動によってゲーム正史よりも犠牲が減っていたり、直近の平原での戦では大勝してしまったこともあって、逆に被害を生じたりする問題もありましたが。そこまで責任はとれないしなぁ……。
現場でも上位のグリュンティング公爵やセイファート将爵が、ヴェルナーの味方側だったのは救いか。
期待の裏返しで難題ぶつけられたりもしましたが。うまくさばいたヴェルナーも、勇者としての活躍をしたマゼルも、格好良くて満足のいく1冊でした。4巻も出てほしいなぁ。