「たとえパズル病末期の症状で命が助かるんだとしても、好きなものを全部失った私なんて……それはもう私じゃない。だから、全力で抗うの」
高校二年生の男子、霧崎陽奈斗は後輩少女の七草音葉に手紙で呼び出される。
すわ告白かとテンションが上がった陽奈斗でしたが、音葉からは「世界で一番嫌い」と言われ、それなのにその後に「付き合ってください」と続けられた。
突飛な展開に不信感を抱き、音葉と距離を取ろうと陽奈斗は考えたわけですが。音葉はかなりグイグイ近づいてきて。
果たして何を考えているのかと思ったら、彼女は都市伝説の「パズル病」を発症していた。
記憶がパズルピースとなって零れ落ち、体の表面に欠落した分だけの穴が生じる。けれど、その痕跡は基本的に当人にしか見えず、どんどん「好き」が零れ自分が失われていく恐怖の病。
音葉のパズル病の痕跡を、なぜか陽奈斗は見ることが出来て……彼女から、対処法について相談さえて、少しずつ距離が縮まっていくことになります。
しかし、その間にも音葉のパズル病は進行していって……近づいたかと思えば遠ざかってしまうこともある。
その過程で、音葉が秘めていたもう一つの目的が明らかになる。と、そんな少し不思議な青春物語ですね。ままならない問題に遭遇しつつも、出来る範囲で足掻いた2人の姿、結構好きです。