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「私を転生させてくださった皆様方。いただいたお言葉通り、私は幸多き人生を送るべく精進して参ります。本当にありがとうございました」

 

ゲームを愛した少年は、創作の中で生まれた『VRゲーム』に憧れを抱いたまま成長した。そして定年退職を済ませた老境に、ついに技術が追い付いて念願のVRゲームをプレイできることになって。

ワクワクしながらキャラメイクをして、チュートリアルを終えて……気が付いたら彼は異世界へと降り立っていた。

ゲームキャラとして設定した若い肉体に、様々なスキルを取得した状態で。

 

最初こそゲームではなく異世界に迷い込んだことに気付いていませんでしたが、ゲームでは設定されてないはずの行為が出来たことや、メニュー機能で閲覧できたログなどから、真実を知ることになって。

肉体が若返ったからか精神も引っ張られて、異世界転生したと知った時には素直に「帰りたい!」となく泣いてしまう一幕もありました。

その上で、歳を重ねて別れが身近になっていたからこそ出会いの喜びに感謝するようになった、という彼の心境もあって、気落ちしすぎることなく一歩踏み出していったのは良かったですね。

 

転生ボーナスをもらったジンのスペックはかなり高く、警戒対象にもなりかねなかったようですけど。

彼の善良さとちょっと抜けてる部分が好感を与え、うまく受け入れられていったのも良かったですね。

ただジンとしては、新たな人生を異世界で送る覚悟を決めたわけで……ゲームキャラのように、ダメージも軽減するし破損しない肉体というのは、有利すぎて受け入れがたかった。魔獣とは言え命を奪う冒険者として活動する以上、自分も命を懸けるべきだ、とダメージ再現率を無効化してしまったりするのは危うさとも取れますが。

ジンという主人公らしさの現れでもあるので、私は結構好きですね、アレ。無謀な行いをしたことを叱ってくれる人もいましたし。