「んー……まあ気にするなよ。と言っても無駄かもしれないけどな。でも、それでもお前が生きていてくれたから俺は今生きてるし、悪いけど知らない誰かの命よりも俺は俺の命が大切だからな。誰も殺さない! なんて都合のいい言葉が許されるのは物語だけだと思うぞ?」
神様からチート能力をもらって異世界に転生することになった主人公のイツキ。
能力を与えられた状態で街に送られるはずが、神様のミスで街道に放り出されて魔獣に襲われるトラブルに最初か遭遇して。
下手したらここで彼の冒険は終わっていたかもしれない……。
という危機的な状況を、同じく異世界からやってきた「流れ人」である隼人に助けられることに。
隼人は過去にチート能力を悪用した流れ人を2人殺めた経験があり、それもあって隼人とその仲間たちは最初こそイツキの事を警戒していましたが……。
イツキは「異世界転生するからって、戦う必要ないよね?」ともらえるスキルを生産特化にしていた上、ユニークスキルも危険性の無い物をもらっていた。
それでうまく毒気抜かれて、街まで案内してくれたし、イツキのスキルを活かせそうな錬金術師ギルドを紹介してくれてたし、使えそうな素材を分けてくれたりと最初こそさんざんでしたけど、その後はいい感じで進んでいけそうだったんですよね。
……ところが、いざ作ったポーションを冒険者ギルドに持っていったら、増長している別ギルドの人員と誤解されて、絡まれることになって。
イツキの上司はちゃんと彼を庇護する立場を取ってくれて、冒険者ギルドのトップとバチバチやりあってくれたので、そこはまぁいいんですが。
交渉の席で本気でやりあった結果、絡まれたときに仲介に入り身内の冒険者優位の裁定を下した女冒険者のアイナがイツキの奴隷になる、なんて話にまでなってしまって。
イツキとしては想定よりも重い罰になりそうで気が引けてましたが、最終的にはそれを受け入れることになって。
アイナは生真面目だから現状を受け入れてるんですけど、彼女の仲間がイツキに対して食って掛かったり、冒険者ギルドの人も飲み込みがたい部分があったりするみたいなそぶりが出てくるのが、なんだかなぁ、というか。
絡んできた当人や塩対応した受付嬢を追放した上でアイナの奴隷化という話だったのに、一番外部の人間のはずのアイナの奴隷化だけは受け入れて、他2人は許すって言うのがなんだかなぁ、感じはある。
戦う力が無いから、仕事奪われたと逆恨みからの闇討ちされても困るから、あえて許すことで恩を売ろうとした、みたいですけども。なんか懲罰のバランスがくるってる気がするんだよなぁ。