(ああ 今すごく幸せだ…)
定期的にロゼの庵へやって来るようになったハリージュ。
彼との会話の中で、自分が忘れていた母との繋がりや祖母が遺してくれたものなんかにも気付いて、幸せを感じているロゼが可愛いですね。
そうやって穏やかなに過ごせる時間ばかりではなく。
騎士であるハリージュは、王女の輿入れが近くバタバタしているし。
生活環境が変わったロゼは商人ティエンにからかわれたり、魔女の歪んだ伝承を信じた子供に泥を投げられたりもしてました。
子どもたちの攻撃に気付いたハリージュが、しっかりとそれを咎めて、大人たちにも魔女の作る一般的な薬について説いてくれたシーンは好きです。
ロゼもそれをありがたく思いつつも、魔女と言う異質な存在であることも自覚していて、一線を引こうとするあたり頑固ですが。
期待してしまえば、それが失われたときに絶望するから、あえて距離を取ろうとしている悲しい処世術なんですよねぇ……。
ハリージュもまだ自分の心境にはっきりと気付いてはいないようですけど、それでもロゼが離れようとしたときに、近づく選択をしてくれたのは褒めたい。いいぞ、もっとやれ。
巻末書下ろし小説は「騎士と約束の惚れ薬」。惚れ薬の試薬をロゼが飲んだシーンの、ハリージュ視点。彼の内心が読めるのでありがたい。
書下ろし漫画「魔女の庵としゃべる椅子」。幼少期のロゼが椅子にしたティエンから、おとぎ話について聞くシーン、可愛くて好き。