そんな悲しい笑顔を、君にしてほしくない。
推しの幸せは、ヲタクの幸せだ。
君が幸せになれない物語を――俺は変えたい。
「好きだ」
『幼馴染お嬢様が邪魔をして、普通のラブコメができない』というラブコメ漫画が好きだった男子が、作中で主人公の親友キャラになってしまう話。
小説家になろうのジャンルでいうと、異世界転移に分類されてはいますね。事故にあって気付いたら漫画の世界に居た、という展開です。
漫画のストーリー骨子は、重本勇一という主人公が高校で知り合った藤瀬詩帆を好きになるが、幼馴染の東篠院香織はそれの邪魔をしていくがその裏には勇一への好意があって……。
という、2人のメインヒロインの中から主人公が誰を選ぶのか、という三角関係ラブコメではあるようです。
ただ、3人だけで物語が完結するはずもなく。勇一の親友であり本作主人公の転移先になった久村司だったり、司の妹の凛恵などもいるわけですが。
司がこのラブコメ漫画で最推しだったのは、2人のメインヒロインではなく。詩帆の親友であり、彼女を応援するために自分の恋心を封じてしまった嶋田聖ちゃんだった。
司が意識を取り戻したのが、聖にとってターニングポイントとなるシーンで……事故直後で意識が混濁して都合のいい夢を見てるんだと思った彼は、推しへのほとばしる恋心をアピールして。
夢だからこそ色々かなぐり捨てて積極的に出られたけど、実際には異世界転移してしまっているので、彼は司として生きていくことになるのですが。
寝て起きても状況が変わらず、その事実に気付いたときに大分焦ってたのは笑った。自分で蒔いた種だよ……。
まぁ司からの熱烈アプローチに照れまくってる聖ちゃんが可愛かったので、いい仕事をしたと言えるでしょう。
司が聖にアプローチを掛けたりしたりしたこともあって、作中の出来事にも少しずつ変化が生じていくことに。
原作漫画ではサブキャラの2人の恋路を描きつつ、原作のエピソードも描いていくことになるわけですが。司の介入によって、わりと序盤だったはずなのに司の知っている原作でもまだ起きていなかった「告白イベント」が発生して、勇一くんの周りもだいぶにぎやかになりそうですね。
下手すると壊れてしまっていたかもしれない関係が、いい形にまとまったとは思いますが。さて勇一君はどっちを選ぶんでしょうかねぇ。
お互いの親友が関わっていることもあって、司と聖は今後も3人の恋路を見ることになるでしょうし、続きが楽しみ。