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「はっ。ダキアに教育的指導を施してやります。連中に、経験という教師が如何に高い授業料か身をもって実感させてやる所存ですが」

 

ターニャの教導によって誕生してしまった二〇三航空魔導大隊。

その初陣となったのは、ダキア戦線でしたが……航空魔導師を運用している帝国に対し、ダキア側は航空戦力もなく数を並べただけだった。

それでもまだ戦訓も確立されていない世界では数は脅威とみられ、最初にターニャに言い渡されたのも遅滞戦闘でしたからね。

……実際には空から歩兵を蹴散らす、ひどい蹂躙劇となったわけですが。

 

望まれた以上の成果を上げたことで、次の戦地へと派遣されることになって。

北方戦線に到着早々、友軍の救助と敵軍への多大な被害と言う戦果を挙げてるし、期待できる戦力なのは、しっかり示されているんですよねぇ。

味方側の絶望的な状況と……その後に描かれた、敵側のとてもつもない被害を思うと、本当に恐ろしい大隊だというほかない。

 

ターニャ、元の世界での戦争の歴史を覚えているのもあって、帝国参謀たちよりも数段早く結論に至る事があるんですよね。

ただ彼女の性格なども影響して、それがうまく伝わらなかったりするんですが。すれ違っている筈なのに、変にかみ合って成果が上がってしまうからややこしいというべきか。

 

その誤解が味方側だけじゃなくて、時に敵側でも発生してるのつい笑っちゃいますね……。偶然が重なった結果ターニャに思惑を潰されたけど、まさか参謀が「偶然の結果、作戦失敗しました」とは思わないし、思ったとて言えないよなぁ。警戒するに越したことはないのは、間違いないし。