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「アーべライン家に相応しい、素晴らしい才能のある令嬢と紹介しましたよ。ただ、少し自信が無いのが難点とも伝えました」

「あらゆるものがルートヴィッヒ様に釣り合っていないとは感じています。ですが、それでも彼の隣に立てるならと思うようになりました」

 

主人公のテサシア・ノーザランは、北方の辺境に位置する田舎男爵領の娘。

王都にある学園に通っていた彼女は、とある夜会で起きた婚約破棄騒動を目撃することになります。

それが王太子シャーロウが、ナゲイトア大公家の令嬢クレイ―ザに対して行ったものだったわけですが。婚約破棄モノで多いのは無能な王子の暴走劇なんですけど、本作においてはわりと順当なんですよねぇ。

 

クレイ―ザ嬢、異世界から召喚されて疫病を癒した実績のある聖女ミズキを暗殺しようと計画したらしいし。

それを察知した王子側が裏を取った上で公に糾弾する、という形を取ったみたいです。

大公家の権力によってクレイ―ザに協力した令嬢たちもまた責められることとなり、いくつもの婚約が破談となったそうです。

 

テサシアは婚約も決まってなかったし、自身の立ち位置も把握していて、聖女からも大公家からも距離をとって「モブ令嬢」らしい振る舞いをしていた模様。

田舎出身ということもあってか、彼女は妙に自分に自信がなかったんですが……。

そんな彼女が、憧れている侯爵家の男性がいた。恋でも愛でもなく、推している、という気持ちだったようですが。

 

そのルートヴィッヒもまた、婚約破棄することとなった一人であり……それ以降、不思議とテサシアと交流が生じるようになって。少しずつ距離が近づいていくことになる物語ですね。

婚約破棄の流れに作中で筋通ってるし、踊らされているものばかりではなく、テサシアみたいにしっかり対処してる人物もいるので、キャラに信頼がおけるのが良かった。