「師匠、ありがとうございます!」
「……その呼び方は、少し慣れませんね、まあ、どう呼ぼうともあなたの自由ですが」
神々のエンターテイメントの会場として作られた、剣と魔法の世界ロークロア。
特殊なスキルを持たせた異世界人を送り込んで、その行動を眺めることで楽しんでいるようでしたが。
主人公のカナタも鑑賞するために、邪神ナイアロトプに引き込まれ異世界に送り込まれることになったわけですが。
神様目線では天涯孤独だしちょうどいいや! って感じだったみたいですが。カナタは飼っている猫が心残りだから帰してくれ、と懇願し……神の不興を買うことになって。
最低限異世界言語のスキルと、ステータスチェックだけはつけてやるけど、チートスキルは無しで、『地獄の迷宮(コキュートス)』というロークロアでも危険な場所に送り込まれてしまうことに。
何もなければカナタはそのまま死んでいたでしょうけど……。
彼は運よく、コキュートス内部で生活していた人間嫌いを自称するリッチの女性、ルナエールに出会い保護されることに。
過去に様々な経験をしたことと、不死者になってしまったから距離を取るべきだという意識から、ルナエールはカナタと一線を引こうとはするんですが。
それはそれとして、人がいい部分もあるんですよね。カナタに修行をつけて、外の世界でも生きていけるようにサポートしてくれましたし。
……最初は早く終わらせようとしていたはずが、カナタとの時間が心地よくなって、当初は100レベルまで行けばいいでしょうと言っていたはずが、「やっぱりもっと強くなった方が良いですよ」と言って、修行の密度上げてますし。
それでも課題を全部超えたカナタを、最後には送り出すことになるんですけど。
……そうしたらそうしたで、気になりまくってるの微笑ましいなぁって思います。ルナエールさん、ポンコツな部分も含めて可愛い。
長年コキュートスで暮らしていたルナエールから、過剰なトレーニングを受けた結果カナタの認識もだいぶ歪んでいて、意図せず地上で大暴れすることになってるのが笑えますね。
カナタが常識に気付けそうなシーンがありつつ、スルーしてる鈍感さがあっておいおい、ってなる場面もありますけど。
地上で常識的な仲間ポメラと出会って、彼女が適度にツッコミ入れてくれるのが笑える。
カナタが特異点となってロークロアの世界を動くことで、エンターテイメントように邪神サイドが仕込んだネタが、予期せず回収されてしまう事態も起きて、あちら側から介入がありそうなのが不安材料ではあるか。