「解った……やるよ」
(略)
「迷うなよ、ユウマ。ぼくはきみに賭けたんだからな。さあ、目が醒めるぞ……三、二、一、ゼロ」
世界初のフルダイブVRMMRPG『アクチュアル・マジック』が楽しめるアミューズメント施設、アルテア。
それが建設されたのぞみ市の住人720人が、オープニングイベントに招かれてテストプレイをすることになったそうです。そこには現地の小学校の6年1組41名も含まれていて……。
何事もなければ、オリエンテーション後にゲームを楽しみ、そのまま帰れたはずでしたが。
あらすじによると、主人公たちが属する6年1組の面々は、ゲームと現実が融合した『新世界』に足を踏み込むこととなって。
主人公の芦原佑馬が新世界で最初に目撃したのは、クラスメイトのアイドル的存在の少女が。モンスターのような状態に変貌し、誰かの腕を武器として襲い掛かってくる光景だった、と。
何とか殺さずに無力化することには成功していましたが……腕をもがれた人物は、当然亡くなっていて。
ゲームのようであるけれど、現実でもある。そんな非情な状況に子供たちばかり放り出されている状況は、かなり危ういですよねぇ。
実際、物語の後半で勇気をもってモンスターとしか言えない存在と戦った佑馬たちを糾弾するクラスメイトなんかも出てくるわけですし。
佑馬達が頑張っている分、そういう悪意が蔓延しそうな空気があるのは不安材料でしかない。あとは佑馬の双子の妹・佐羽が気になる言動多いんですよねぇ。
佑馬の友人の姿も見えなかったり、力づくで脱出しようとしても入り口を破壊できなかったり。
何もわからない中で犠牲者も出始めている、と考えると状況どんどん悪化していく未来が見えて恐ろしい。
作品の要素としては面白いんですが……川原先生、複数シリーズ抱えているので刊行ペース的な不安もあるんだよなぁ、と思って積んでる間に2巻が出てましたね。