タイトル通り、2023年上期に読んだオススメラノベ紹介記事です。
1、『黄金の経験値 特定災害生物「魔王」降臨タイムアタック』
NPCにも高度なAIが搭載されており、プレイヤーとの違いは「システムメッセージを聞けるかどうか」という1点しかなかった。
あくまで世界観説明用の設定かと思ったら……主人公のレアは、早い段階でNPCと交流する機会を得たことで、その言葉に一切偽りがないことに気が付いて。
他プレイヤーとは違った視点でゲームと向き合った彼女が、他プレイヤー達よりも早く駆け抜けて、時に運営の思惑すら超えたりする話ですね。
魔王ロールプレイ楽しそうで何よりです。他のプレイヤー置いてけぼりかと思いきや、2巻では別方向にヤバいプレイヤーも登場するので、お楽しみください。
2、『泡沫に神は微睡む』
全ての人が精霊を宿して生まれる島国。
しかし主人公の晶は精霊を宿しておらず、家族から蔑視されて過ごしていた。
祖母だけが味方してくれていたが彼女も亡くなり、ついには家を追い出されることに。
そうして故郷を遠く離れた地の片隅で平民として暮らしていたわけですが。
そこでも身分の問題が立ちはだかり……晶がどうして精霊を宿していなかったのか、その真実を知ることで物語が進んでいくわけです。
歩みはゆっくりですが、世界観は作り込まれていて続きが楽しみになる作品ですね。
全ての人が精霊を宿して生まれる島国。
しかし主人公の晶は精霊を宿しておらず、家族から蔑視されて過ごしていた。
祖母だけが味方してくれていたが彼女も亡くなり、ついには家を追い出されることに。
そうして故郷を遠く離れた地の片隅で平民として暮らしていたわけですが。
そこでも身分の問題が立ちはだかり……晶がどうして精霊を宿していなかったのか、その真実を知ることで物語が進んでいくわけです。
歩みはゆっくりですが、世界観は作り込まれていて続きが楽しみになる作品ですね。
3、『不遇皇子は天才錬金術師~皇帝なんて柄じゃないので弟妹を可愛がりたい~』
皇子が立て続けに亡くなったために、隠し子が皇帝になることとなった。
しかし、隠されて育ったために現在の皇帝は政治的に弱く……彼が皇帝になる前に生まれた子である主人公のアッシュも、第一皇子とされながらも冷遇されることになったわけです。
ただ、アッシュは転生者であり……色々とわきまえていた、というか。サブタイトルの通り、庶民より
の感性を持っていて皇帝の座には興味がなく、どうにか弟妹と仲良くしたいという気持ちの方が強かった。
趣味として学び始めた錬金術で才能を発揮して、その知識で家族を助けたり、仲を深める一助にしていく話ですね。
とはいえタイトルの『不遇皇子』も間違いじゃなくて、様々な事情があるとはいえアッシュのおかれた環境はだいぶ悪いんですよねぇ。当人がそこまで気にしてないのが救いですけど、大人たちの政治闘争の結果追いやられてるのを思うと、課題山積で頭が痛い部分もありますけど。
4、『物語の黒幕に転生して2~進化する魔剣とゲーム知識ですべてをねじ伏せる~』
3部作の原作ゲーム『七英雄の伝説』で、主人公たちと敵対し、重要キャラの命を奪った悪役レン・アシュトンその人に転生してしまった主人公。
1巻で、ゲーム時代のレン・アシュトンが命を奪った聖女リシアと不思議な縁が出来て、彼女の実家クラウゼル男爵家の世話になることになったレンが、リシアと交流したり、村を離れてクラウゼル男爵領で冒険者としての活動を始めることになる2巻。
レンの活躍によって、ゲームでは死ぬ運命にあった少女を救うことも出来てるし、そういう意味ではゲーム知識はかなり活用されていますね。
でも、結構序盤からしっかり描いてくれてる関係で、タイトルにあるほど「黒幕」らしさないんですよねぇ。中身が違うからと言えばそれまでですが。
でも、守るために剣を振るうレン格好いいので、ぜひそのままシナリオを破壊してハッピーエンドにたどり着いて欲しい。8月発売予定の3巻も楽しみです。
5、『ソード・オブ・スタリオン 種馬と呼ばれた最強騎士、隣国の王女を寝取れと命じられる』
「狩竜機」と呼ばれるロボットを駆り、竜を討伐する功績を挙げた主人公のラス。
しかし、その戦いで婚約者であった王女フィアールカが亡くなり……失意の彼はそれから2年娼館通いを続けることに。そのことから「極東の種馬」なんて不名誉な仇名を貰うことになっていましたが。
実はその娼館の主は凄い腕利きで、ラスは腕を磨くことを辞めてはいなかった。
そしてそんな彼の下に、実は生き延びていたフィアールカから「隣国の王女を口説いて欲しい」という、トンデモ依頼が持ち込まれることになって……。
アルギル皇国の事情だったり、いろんな思惑が絡んだ話ではありつつ、ラスとフィアールカの関係自体は良好なんですが、その上で王女寝取らせようとしてるの業が深いんだよなぁ。
標的となっている王女ティシナも一筋縄ではいかなそうな人物ですし、どういう関係になっていくんだろうか。
「狩竜機」と呼ばれるロボットを駆り、竜を討伐する功績を挙げた主人公のラス。
しかし、その戦いで婚約者であった王女フィアールカが亡くなり……失意の彼はそれから2年娼館通いを続けることに。そのことから「極東の種馬」なんて不名誉な仇名を貰うことになっていましたが。
実はその娼館の主は凄い腕利きで、ラスは腕を磨くことを辞めてはいなかった。
そしてそんな彼の下に、実は生き延びていたフィアールカから「隣国の王女を口説いて欲しい」という、トンデモ依頼が持ち込まれることになって……。
アルギル皇国の事情だったり、いろんな思惑が絡んだ話ではありつつ、ラスとフィアールカの関係自体は良好なんですが、その上で王女寝取らせようとしてるの業が深いんだよなぁ。
標的となっている王女ティシナも一筋縄ではいかなそうな人物ですし、どういう関係になっていくんだろうか。
6、『愛され天使なクラスメイトが俺にだけいたずらに微笑む1』
パティシエになりたい男子高校生の主人公は、製菓専門学校に通いたかった。
しかし、両親の反対にあい普通科の高校に入学し……それでも夢は諦めてはいなかった。
クラスの女子に自作のお菓子の試食を頼み、アンケート結果を参考に腕を磨こうとしたが……なかなか良い意見はもらえず。
そんな中で、天使のようにかわいがられている女子生徒が、長所短所を踏まえた上での意見を出してくれて。2人がそれぞれの目的のために協力関係になって、仲を深めていくお話。
糖度高めのラブコメで、実に良かったですね。
7、『魔王と勇者の戦いの裏で 3 ~ゲーム世界に転生したけど友人の勇者が魔王討伐に旅立ったあとの国内お留守番(内政と防衛戦)が俺のお仕事です~』パティシエになりたい男子高校生の主人公は、製菓専門学校に通いたかった。
しかし、両親の反対にあい普通科の高校に入学し……それでも夢は諦めてはいなかった。
クラスの女子に自作のお菓子の試食を頼み、アンケート結果を参考に腕を磨こうとしたが……なかなか良い意見はもらえず。
そんな中で、天使のようにかわいがられている女子生徒が、長所短所を踏まえた上での意見を出してくれて。2人がそれぞれの目的のために協力関係になって、仲を深めていくお話。
糖度高めのラブコメで、実に良かったですね。
魔軍が大きく動き、聖女でもある第二王女ラウラもいるフィノイの大神殿が狙われることに。
王国軍は当然その状況を良しとせず、軍を派遣するために緊急出動令を出したわけですが……。
ヴェルナーもまた貴族家の令息として、現場に駆けつけることとなって。そこで勇者パーティーに加わっていた斥候のフェリと遭遇。
彼から聞いた情報もあって、別の危険に気付き即座に行動を開始できるのは彼の美点ですよね。
ゲームシナリオを知るヴェルナーの介入によって、既に原典とは様々な差異が生じているわけですが。
それが良く作用することもあれば、逆に魔族相手にも勝利した経験から油断して被害が生じる、なんて出来事まで起きてしまったり。
かつてヴェルナーが言った、全ては救えないという言葉の重さを改めて実感しました。
それでも彼自身や、彼の救った人々の奮闘によって、より多くに手を伸ばせるようになっているとは思うので、今後も励んでほしいものです。
8、『春夏秋冬代行者 暁の射手』
このシリーズ、本当に好きなんですよね……。
今回は北の地で国に『朝』を齎している『暁の射手』花矢とその守り人の弓弦を中心にした物語ですね。
四季の代行者ほど狙われることが無いこともあり、待遇改善のための積み重ねが行われてきたとかで、当代の花矢は学校に通う傍ら神様をしていた。
花矢は弓弦に守り人を辞めさせようとする変わった主ではありましたが、弓弦にその気はなく……少しずつ時間を重ねて、良い関係を築いていった最中に悲劇が起きて。
けれど春と夏の共同戦線を超えた今だからこそ打てる手もあって……。
行動力を得た四季の代行者たちが本当に頼もしくて、花矢たちの救いとなってくれたのが良かったですね。
9、『彼女と彼の関係~平凡な早川さんと平凡な三浦くんの非凡な関係~』
富士見L文庫からの選出。BOOK☆WALKERでも文芸ジャンルにはなってますが、オススメしたかったので……。
「誰でもいいから彼女が欲しい」と男友達に零していた主人公、三浦くん。
その言葉を聞いていた早川さんが「私でもいい?」とアピールしてきて、お試しで付き合うことになって。
不思議と波長があう2人のやり取りが微笑ましいラブコメです。男女の視点両方とも描かれていて、どっちも可愛いので1冊で2度おいしい。
10、『不可逆怪異をあなたと 床辻奇譚』
住むと早死にする、なんて噂のある床辻市。
実際、様々な「侵してはならないルール」というものがあり、それを破ると怪異に遭遇してしまう恐ろしさがありました。
主人公の蒼汰は、市内で怪異に見舞われて頭だけの状態になったのになぜか生きている妹と2人で暮らしていて……彼女を助けるために、敢えて怪異に踏み込んでいくチャレンジャーとなって。
その過程で不思議な少女一妃と出会い、彼女に助けられたりしつつ市内のトラブルに対処していく話ですね。
蒼汰が「驚くとと怪異が喜ぶから」と無反応貫きつつ、フィジカルで問題解決していくのが面白かったです。帯にあったオカルトアクションという表現は、実に正しい。
とりあえず10作品選抜しました。
以下は悩んだ候補たちの紹介。
EX1、『月の白さを知りてまどろむ2』
神話正統の妓館「月白」の主であるサァリと、王都から来た化生斬りの青年シシュを中心に語られる異類婚姻譚の第2巻。
1巻は導入として、堅物なシシュと享楽の街で育ったサァリとの価値観の違いなどが良く描かれていた衣装ですが。2巻に入り、この物語が異類婚姻譚とラベリングされていることの真価を実感することになりましたね。
人と神との交流はかくも難しく……だからこそ、続いていることが尊く見える。
余談ですが、月白2巻の電子版には以前刊行された『紅き唇の語りし夜は』が収録されているので、そちら未読の方は電子版での購入も検討ください。オススメのエピソードなので。
実際、様々な「侵してはならないルール」というものがあり、それを破ると怪異に遭遇してしまう恐ろしさがありました。
主人公の蒼汰は、市内で怪異に見舞われて頭だけの状態になったのになぜか生きている妹と2人で暮らしていて……彼女を助けるために、敢えて怪異に踏み込んでいくチャレンジャーとなって。
その過程で不思議な少女一妃と出会い、彼女に助けられたりしつつ市内のトラブルに対処していく話ですね。
蒼汰が「驚くとと怪異が喜ぶから」と無反応貫きつつ、フィジカルで問題解決していくのが面白かったです。帯にあったオカルトアクションという表現は、実に正しい。
とりあえず10作品選抜しました。
以下は悩んだ候補たちの紹介。
EX1、『月の白さを知りてまどろむ2』
神話正統の妓館「月白」の主であるサァリと、王都から来た化生斬りの青年シシュを中心に語られる異類婚姻譚の第2巻。
1巻は導入として、堅物なシシュと享楽の街で育ったサァリとの価値観の違いなどが良く描かれていた衣装ですが。2巻に入り、この物語が異類婚姻譚とラベリングされていることの真価を実感することになりましたね。
人と神との交流はかくも難しく……だからこそ、続いていることが尊く見える。
余談ですが、月白2巻の電子版には以前刊行された『紅き唇の語りし夜は』が収録されているので、そちら未読の方は電子版での購入も検討ください。オススメのエピソードなので。
EX2、『アラサーがVTuberになった話。2』
かつての後輩で、ストーカー対策に同棲していた経験すらある後輩が、他所の事務所からVTuberデビューすることになったり。
怜の妹の友人も同時にデビューしたと思ったら、妹との繋がりがバレたり。
思わぬところから火種もらったりして、相変わらず伸び悩んではいるけれど、変わらずに活動出来ているのが強い。
妹ちゃんと約束していた色紙を本当に用意してきた怜にたいして、彼のサインも欲しいと返すシーンが地味に好きです。
EX3、『南国カノジョとひとつ屋根のした』
母を亡くして育った主人公の葵と、父を亡くした少女ナイア。
それぞれに違った形で過去に傷のある二人ではありますけど、海という場所で過ごす間に前向きになれているのが良かったですねぇ。
特にナイアの影響で海に惹かれるようになった葵が、今度は立ち止まってしまった彼女を連れていくという展開は、王道でとても良かった。いい青春ものでしたね……。
かつての後輩で、ストーカー対策に同棲していた経験すらある後輩が、他所の事務所からVTuberデビューすることになったり。
怜の妹の友人も同時にデビューしたと思ったら、妹との繋がりがバレたり。
思わぬところから火種もらったりして、相変わらず伸び悩んではいるけれど、変わらずに活動出来ているのが強い。
妹ちゃんと約束していた色紙を本当に用意してきた怜にたいして、彼のサインも欲しいと返すシーンが地味に好きです。
EX3、『南国カノジョとひとつ屋根のした』
母を亡くして育った主人公の葵と、父を亡くした少女ナイア。
それぞれに違った形で過去に傷のある二人ではありますけど、海という場所で過ごす間に前向きになれているのが良かったですねぇ。
特にナイアの影響で海に惹かれるようになった葵が、今度は立ち止まってしまった彼女を連れていくという展開は、王道でとても良かった。いい青春ものでしたね……。
EX4、『ホラ吹きと仇名された男は、迷宮街で半引退生活を送る』
迷宮を中心としてできた街で、迷宮に潜り戦果を持ち帰る挑戦者として活動していたギデア。
完全ソロながら、それまでの最高到達点である三十層まで至っているという事実を公言するために、『ホラ吹き』と仇名されるようになった青年ですが。
実際は本当に到達してるし、なんなら序盤でボスを倒して三十一層のアイテムすら持ち帰ったんですよね。
それまでの頂を超えてしまったことや、剣術バカである彼の求める敵がいなかったことで軽く燃え尽きてしまったギデアは、ノルマが課せられなくなる「半引退」制度を申し込んで。
今まで行った事の無い場所に足を運び、食べたことのない物を食べる。そういう経験を重ねて、心の栄養補給をしていく話ですね。
派手さはない、主人公のような無骨な作品ですが、ゆるぎない芯を持っているギデアが好きでするする読めました。
惜しむらくは1巻でWEBのストック使い切ったというか、なんなら完結設定になってるところですかね……単巻完結も読みやすく人に勧めやすいので良いものですが、それはそれとして惜しい気持ちはある。