「だって文也はさ。――当たり前のようにそっちの目線、なんだもんな」
(略)
「そうそう。――俺は『そっち側』に行きたくてがんばってる人間、だからな」
日南からの課題で、攻略対象として2人を選ぶことになった友崎。
彼はみみみと菊池さんを選んで……折しも文化祭が近づいており、友崎はみみみと漫才をして、演劇の脚本を書いた菊池さんのサポートをする予定もあった。
文化祭に注力しつつ、日南から三つの課題を与えられることになって。
課題に含まれたこともありますが、「好きになる」ということについて他の人の意見を聞きつつ、少しずつ自分の気持ちを確かめていく友崎。
いやはや、実に青春してるなぁって感じで良かった。勢いで気持ちを零してしまったみみみと友崎が、バッタリ会ったときにギクシャクしてるのもらしさがありましたし。
菊池さんが描いた脚本『私の知らない飛び方』という物語の空気感が好きだなぁ。
日南と似通った強さを持つキャラクターアルシアの解像度を上げるために、菊池さんと日南のことを知る人たちに取材したりしているのも、少ない時間で妥協してないのがよかった。
菊池さんも変わろうと動いていく中で、彼女と距離が近づく別の男子も登場したりして。
色々暗喩が込められた脚本の意味を汲みとってしまって友崎の足が止まった時に、みみみが背中を押すのが良かったですね……。
ヒロインとしては菊池さん推しなので、告白の行方については嬉しかったですけど。先に告白したみみみが、恋敵への後押しするのは失恋確定なわけで痛さもありました。
最後ちょっとわがままを言えるようになった菊池さんが可愛かったですね。満足度の高い1冊だった。
特装版のイラスト集、女性キャラのオフショットが最初にありますがそのデザインだと、花火と泉が好きですねー。特装版のカバーにもなってる菊池さんのも良いですけど。
あとは単行本未収録イラストの、26~27Pの菊池さんもカワイイ。
絵を語るときに、可愛いとかした語彙出せないんですけど、要所で屋久先生のフェチコメントが差し込まれていて、流石プロ作家……と感心するばかりでした。あとがきでも語ってることあるしな……。